消費者庁/アリックス、9カ月間の業務停止に/宮城GMに業務禁止命令も

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
消費者庁・取引対策課千島晴雄取引対策官

消費者庁・取引対策課千島晴雄取引対策官

 消費者庁は11月20日、ARIIX Japan(アリックス・ジャパン、本社東京都、宮城邦夫GM)に対し、特定商取引法に基づき、9カ月間の一部業務停止を命じ、あわせて業務改善を指示した。職務執行者である宮城GMに対しては、9カ月間の業務禁止を命じた。一方、消費者庁はグループ会社のモリンダとゼンノアが経営統合した場合、業務停止命令の効力は失われる可能性を示唆した。
 認定された違反行為は、「勧誘目的等の不明示」「書面不交付」「迷惑勧誘」の3項目。
 消費者庁によると、アリックスは19年7月以降、勧誘の際、相手に対し「副業をやっているので、そのことについて話したい」と告げるのみで、統括者の名称や特定負担を伴う取引の契約だということ、製品の種類を明らかにしなった。また勧誘をする際に、概要書面を交付していなかったという。
 今年2月には、喫茶店で勧誘した際に、消費者が「絶対に契約しない。家に持ち帰って考えたい」という意思を示しているにも関わらす、「1日でポイントの獲得率が大きく変わるから、やるなら早い方が良い」などと言って、その場で契約するように促し続けた。勧誘から4時間が経過する中で、断りきれないと思い契約したとしている。
 アリックスはホームページ上で、「今回の処分を真摯に受け止める。コンプライアンスの一層の強化を図り、再発防止に努める」と記載しているものの、具体的な強化策には全く言及していない。本紙は今回の件で取材を求めたが、「広報から回答する」と応じたまま、期日までに回答を得られなかった。


■相談件数は9年で2000件超え

 12年度から20年10月31日までに、全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は、2167件に上っていた(図1参照)。契約金額別の相談では、最高契約金額は300万円。地域ごとでの相談件数では、大阪府が最多の474件となり、次いで兵庫県の247件、東京都で167件だった。年齢別では、20代が79.0%と大半を占めている(図2参照)。
 消費者庁は会見の中で、「300万円での契約は『過量販売』に該当しないのか」という記者からの質問に、取引対策課の千島晴雄取引対策官は、「勧誘された消費者がボーナスを目当てに、自身の意思で契約を締結したため、『過量販売』には該当しない」と回答した。


■経営統合で業務停止が無効の可能性も

 今年7月20日に、モリンダジャパンの親会社であるニューエイジ・インク(本社米国コロラド州、ブレント・ウィリスCEO)が、競合関係にあったアリックス(本社米国ユタ州、フレッド・クーパーCEO)とゼンノア(本社米国ユタ州、ジョン・ワズワースCEO)を経営統合すると発表した。
 8月6日に、日本国内で行われた説明会では、日本国内ではそれぞれが独立したNB企業として活動をするとしたが、統合状態を検討した上で、3社の統合はあり得るともしていた。
 「3社が国内で統合された場合、業務停止命令の効力はどうなるのか」という本紙取材に対し、千島取引対策官は、「今回の処分はアリックス・ジャパンに対して命じたものだ。統合状態にもよるが、法人として同社の登記がなくなれば、業務停止は無効となる」との見解を示した。
 しかし一方で、「今回の処分を回避するために、意図的に経営統合しようとした証拠が見つかった場合、統合した新会社も処分の対象となる。今後、意図的に統合を進めようとしているのかを検証する可能性は十分にある」(同)とも話している。

アリックス・ジャパンの概要書面など

アリックス・ジャパンの概要書面など

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ