〈特商法改正検討会〉 「実効性のある制度を」/悪質な定期購入規制で見解一致

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 消費者庁は6月29日、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の第4回会合を開催、定期購入トラブルなど、ECに関する四つのテーマについて議論した。定期購入に関して、委員らからは、「契約の取消しを可能してはどうか」や「契約条件の表示の大きくする規定を設けてはどうか」といった意見が寄せられた。多くの委員は、「悪質な定期購入事業者に対する、実効的な制度設計が必要である」という見解で一致した。


■定期トラブル急増を指摘

 第4回会合では、「経済のデジタル化・国際化に対応したルール整備」について、委員らが意見を交わした。(公社)日本通信販売協会(事務局東京都)の万場徹委員のほか、臨時委員としては、(一社)ECネットワークの沢田登志子委員らも出席した。
 事務局である消費者庁取引対策課は、19年4月~20年3月の1年間でPIO―NETに寄せられた定期購入に関する相談件数が、前年比倍増の4万4300件超となったことを報告。4年間で約10倍に急増しているなどとした。法改正を視野に入れた議論のテーマとして(1)「定期購入であることがより分かりやすい表示とするための方策」(2)「定期購入の解約を妨害するような悪質事業者に対する方策」─などを提示した。
 国民生活センターの松本恒雄理事長は、定期購入トラブルの相談の傾向について報告した。アフィリエイト広告の表示を見て消費者が誤認した事例が多かったことや、「いつでも解約できる」という表示を見て購入したが電話がつながらないという事例も多くみられたことなどを明らかにした。後払い決済が関係した相談が多かったことも示した。


■文字サイズの規制求める声

 委員は、通販の定期購入トラブルについて、寄せられている相談の多くが、悪質な事業者によるものであるという見解で一致した。
 規制の方向性について、ECサイトの文字の大きさや解約方法などについて、「新たな規定を設けるべき」などと求める声が複数の委員から聞かれた。
 主婦連合会の有田芳子委員は、「特商法は契約時に定期購入の条件や支払総額の表示を義務付けているが、表示方法には規制がない。『分かりやすい文字の大きさで一体的に記載する』といった規定を設けることを求める」と発言した。
 弁護士の池本誠司委員は、「広告画面において、優良性・有利性の強調表示と打消し表示を分離せず、一体的に表示することを義務付け、小さな文字などの表示を具体的に禁止しては」などと意見を述べた。
 池本委員は、「過大広告により消費者が契約内容を誤認した場合、不実告知を認める規定を設けてはどうか」とも話した。
 事業者に近い立場の委員からは、悪質な事業者のみを規制の対象とすべきだという声が聞かれた。
 万場委員は「定期購入トラブルを引き起こしているのはほぼ特定の事業者。悪質商法が出たからといって法改正で規制強化するのは早計だ」と話した。
 沢田委員は「定期購入トラブルには、本当に悪質な事業者によるものもあれば、消費者の表示の見落としや思い込みによるトラブルもある。トラブルの境界を明確にし、悪質な場合のみ罰則を設けては」などと話した。
 会合の終盤で、川上正二委員長は、「定期購入トラブルが増加していることについては、委員らの意見を踏まえ、実効的な制度設計が必要である」とまとめた。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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