国民生活センター/断りきれない事例増加/デジタルに関する相談目立つ

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 国民生活センターは8月29日、「支払えないから買わない」と消費者が言っているにもかかわらず、借金をさせたり、クレジットカードを使うよう迫るなど強引に契約する手口の相談件数が増加していると発表した。強引な契約による相談は、18年度は前年度より53件増多い642件だった。クレジットカードの普及により、クレジットカード払いで強引に契約させる手法が増えてきた。
 18年4月から受け付けて、19年7月31日までにPIO―NET(パイオネット)に登録された「断っても強引に契約させる手口」に関する相談642件の内、訪問販売は212件(33.4%)、マルチ商法が150件(23.7%)と全体の過半数を占めている。この手口による、18年度の訪問販売での平均被害額は前年度より19万円増の約100万円で、マルチ商法は6万円減の約54万円だという。年代別では、20代の相談件数が371件(59%)と最も大きな割合を占めた。商品・役務別で見ると、投資などの情報商材の「他のデジタルコンテンツ」についての相談が前年度より49件多い60件となり、相談件数増加につながった。
 20代男性はUSB形式ソフトの投資を友人から勧誘された。金額が約50万円と高額なので、「払えない」と告げると、「儲かるからすぐに返済できる。留学するためウソをつけばいい」と言われ、断り切れずに借金して契約をしたとしている。
 さらに、20代の女子学生は、SNSで知り合った男性から、海外のオンラインカジノのネットワークビジネスの勧誘で、登録に20万円が必要だと言われ、女子学生は「そんな金額は払えない」と告げた。男性は「報酬がもらえるので、すぐに返済できる」などと話し、クレジットカードの審査が通るように、アルバイトにも関わらず正社員と記載するよう指示されたという。女子学生はカードを申し込んで、4回での分割払いで代金を決済した。
 60代女性の場合、着物販売店の展示会で着物セットを約130万円の個別クレジットの分割払いで契約。さらに、数カ月後にも再度90万円相当の商品を分割払いで契約した。2カ月後、また展示会に誘われたが、「もう払えない。買いたくない」と拒否したが、昼食代をサービスしたり、プレゼントをあげるから買って」と迫られて、言われるがままにクレジットカードで、約80万円の帯類を契約したという。
 国民生活センターによると、15年度から16年度にかけて、消費者庁などによる注意喚起でDVDの投資勧誘などの相談件数が減ったが、オンラインカジノなどのデジタルコンテンツでの勧誘が増えたことにより、17年度から相談件数が再び増えてきているとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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