〈ライブコマース〉 市場予測は不透明/楽天は参入、メルカリは撤退

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販売する商品やブランド、配信者自身の関係性・ストーリーの構築がポイントになる

販売する商品やブランド、配信者自身の関係性・ストーリーの構築がポイントになる

新たなチャネルとしてEC事業者から注目されてきたライブコマースだが、市場としての先行きが不透明な状況となってきた。成功事例として挙げられる中国ほどの実績が、国内では見いだせていないとともに、メルカリが6月7日、ライブ配信による商品販売サービス「メルカリチャンネル」を7月8日に終了すると発表したからだ。一方、「楽天市場」を運営する楽天は5月17日、ライブ動画配信サービス「RakutenLIVE(楽天ライブ)」を開始。ライブコマース機能を実装し動画による商品売買を可能にした。「メリカリチャンネル」終了の真意は不明だが、ライブコマースを展開するEC事業者にとっては依然、試行錯誤が続きそうだ。

視聴者属性は30~40代主婦

 メルカリは17年7月6日、ライブ配信で商品を売買できる「メルカリチャンネル」の機能を開始した。同12月には、法人向けに「メリカリチャンネル」の一部機能を開放。初期費用・月額利用料は不要で、販売手数料として売り上げの10%分をメルカリに支払う仕組みとなっている。
 法人向け開放当時、ライブ配信に取り組むと名乗り出た事業者は11社。そのうちの1社である夢展望は、法人用サービス発表時から現在まで「メルカリチャンネル」によるライブ配信を継続して行っている。
 夢展望によると、現在は週1回配信を行っており、平均視聴者数は3000~3500人、平均同時視聴者数は約350人になる。前年の平均総視聴者数は2000人、平均同時視聴者数は150人だったので、視聴者数は増加している。視聴者の属性は30~40代主婦層の比率が高い。
 配信に関しては、目玉となる商材作りと、同時購入を促すコーディネート提案に注力している。コーディネートで顧客の関心を引き付け、複数商品の購入につなげる。
 夢展望は「メルカリチャンネル」について「1配信当たりの売上高に関しては、商品やシーズンなどにより波があるため一概には言えない。だが、時間当たりの売り上げは総じて効率的な効果が得られている」(管理本部総務人事部)と説明する。
 夢展望と同時期に「メルカリチャンネル」に参加した中古携帯の販売を手掛ける携帯市場(本社東京都、粟津浜一社長)は、「メルカリチャンネル」の利用を早々にやめた。配信当時は実店舗で中古携帯電話の査定や、クリーニングの実演をライブで中継していた。定期的に配信してきたが、売り上げに結び付けることが難しかった。
 女性向け商品の企画、開発を手掛けるあしたるんるんラボ(本社東京都、内村隆男社長)によると、「メルカリチャンネル」では販売商品のクロスセルが順調に行えると説明する。1回の配信で大体20万~30万円ほどを売り上げる。
 商材によっては新規ユーザーを多く獲得でき、顧客との有益なタッチポイントとなっている。「例えば、ハーブティーを買われる顧客が鉄のサプリメントも購入するなど、商品を単品ではなく複数買われる方の比率が高い」(内村社長)と「メルカリチャンネル」の特徴を話す。

(続きは、「日本流通産業新聞」6月13日号で)

ビックカメラは5月11日と12日、有楽町店でライブコマース形式の実演販売を行った

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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