【変化するふるさと納税市場】10月からポイント還元禁止/寄付額全国1位の都城市「9月に駆け込みがある」(2025年5月29日号)

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宮崎・都城市ふるさと納税課・野見山修一課長

宮崎・都城市ふるさと納税課・野見山修一課長

 総務省は昨年、ふるさと納税において、寄付を実行する際に、ポイントを付与する販促を25年10月から禁止する旨を発表した。楽天グループ(楽天)などは反対の意志を表明したが、禁止の方向性は変わらない。2年連続で寄付額全国1位の宮崎・都城市のふるさと納税課課長の野見山修一氏は、「9月にふるさと納税の駆け込みがある」と予測している。まだ明らかになっていないが、ふるさと納税ポータル運営企業は最後の大型ポイント還元キャンペーンを実施する可能性が高い。各ポータルは販促を展開するだけではなく、どのようにサービスを磨き上げて他社と差別化を図っていくのか。有力企業の動向に迫った。

 24年6月、総務省はふるさと納税の指定基準を見直すと発表した。その後、同8月、楽天は記者会見を開催し、総務省が発表したふるさと納税仲介サイトにおいて、ポイント付与を禁止することに反対する声明を発表した。今年に入っても、楽天は継続して反対の意向を表明しており、オンラインで集めた反対署名を政府に提出している。
 「『楽天ふるさと納税』における『楽天ポイント』は、ユーザーがふるさと納税制度をより身近に感じ、応援したい自治体への寄付を楽しみながら行えるよう、当社が原資を負担したうえで進呈している。当社では、総務省が発表した告示は地方自治体と民間企業の協力・連携体制を否定し、地方自治体の自立的努力を無力化するもので、地方活性化という政府の方針にも大きく矛盾しているものと考えている」(ふるさと納税事業部ジェネラルマネージャー・田村裕二氏)と説明する。
 楽天は反対の意を表明しているが、現時点において、総務省の決定は変わっていない。予定通り、ふるさと納税の制度改正が行われ、ポータルサイトのポイント還元が禁止されると、どのような変化が生じるのか。
 都城市のふるさと納税課の野見山修一課長は、制度改正直前の9月に過去最大級の大きな波が来ると予想している。
 「従来、ふるさと納税は12月が寄付のピークだったが、23年10月の制度改正(寄付額に占める経費を5割以内におさめることなど)により、メディア報道が過熱し、9月に大きなピークが到来した。24年度は大きな制度改正がなかったため、再び12月がピークに戻った。そして25年10月に予定されているポイント制度に関する大きなルール改正を前に、その直前の9月に過去最大の駆け込み需要が発生すると予測している。各ポータルサイトも『最後のポイント祭り』的なキャンペーンを打つ可能性が高い」(野見山氏)とみている。
 各企業は8~9月にかけて、最後の大型キャンペーンを実施すると予想できる。多くの寄付者を獲得し、ポイント還元が禁止になった後、他社よりも優位に立とうとするだろう。

(続きは、「日本流通産業新聞 5月29日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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