消費者庁/新生ホームなどに行政処分/消費者安全法で3社に注意喚起も(2022年7月7日号)

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消費者庁の記者会見の様子

消費者庁の記者会見の様子

 消費者庁は6月29日、外壁塗装を訪問販売する新生ホームサービス(以下、新生ホーム、本社兵庫県、赤樫武尚社長)と、同業の新生ビジネスパートナーズ(以下、新生ビジネス、本社兵庫県、吉都紀太介)の2社に対し、特定商取引法に基づき、9カ月間の業務停止命令を行った。新生ホームサービスの取締役で新生ビジネスパートナーズの代表取締役を務める吉都紀太介(きつきだいすけ)氏には、9カ月間の業務禁止を命じた。
 さらに同日付、新生ホームおよび新生ビジネスと同様の営業手法を展開する、外壁塗装の訪問販売を手がける日本eリモデル(本社兵庫県、中村慎一社長)とみらい住宅開発紀行(本社大阪府、中積康至社長)、ウィズライフ(本社大阪府、矢野伸一社長)の3社に対して、新生ホームなどと同様の方法で勧誘活動が行われる可能性が高いとして、消費者安全法に基づき注意喚起を行った。
 新生ホームと新生ビジネスに認定された特商法違反は、「勧誘目的等の明示義務違反」「再勧誘」「不実告知」「迷惑勧誘」の4項目だという。
 消費者庁の発表によると、勧誘目的等の明示義務違反では、19年11月以降、消費者への勧誘に先立って「ご地域の皆さんにお世話になっている工務店なのですが、新しい地域の担当で1軒ずつ日中からご挨拶とお願いに、皆さん回らせていただいたんですよ」などと告げるのみで、勧誘の目的を告げなかったという。
 再勧誘は、19年11月以降に、「いい話やけどね、今、ちょっといいですわ」「考えていないからね」と消費者が契約の締結をしない旨を告げているのにも関わらず、「いくらぐらいになるか、1回見るだけでも見てもらえないですかというお願いで、皆さん回らせてもらってたんですよ」「奥さん、もし塗装代、手間賃って言われても、それでも全然ですか」などと再勧誘をしていた。
 不実告知は、20年3月以降、消費者に対して「お値引き幅は最大限、もうこれ以上お値引きできない金額」「今回の特別な営業」などと勧誘。提示した金額と値引き率が、他の消費者よりも特別な金額であるかのうように告げていた。実際は、特別な値引きではなかったという。
 迷惑勧誘では、19年12月、事前の承諾もなく午後9時頃に消費者宅を訪問。消費者が契約を締結しない旨の意思表示をしているにも関わらず、その後も一方的に勧誘を継続していたという。
 消費生活センターに寄せられた新生ホームなどの相談件数は、18年度が86件、19年が138件、20年が123件、21年が29件、22年が5件だった。22年は5月31日までの件数。20年から21年にかけて、相談件数が減少していることについて消費者庁では「事業を縮小する方向に入った可能性がある」とした。相談内容で目立ったのは、「しつこい」「強引」といった迷惑勧誘が多かったとしている。消費者庁が確認した契約金額は、平均で162万円とし、最高で約521万円だったという。
 新生ホームと新生ビジネスは、連携して事業を行っているという。新生ビジネスが営業手法の各種マニュアルを作成・配布して、詳細かつ具体的な指示監督を行い、営業方針などについても新生ホームと共同で意思決定していたとしている。


■役員派遣などで関連

 新生ホームなどの2社と同様の方法で、勧誘が繰り返し行われる可能性が高いとして、消費者安全法に基づいて注意喚起された、日本eリモデルと、みらい住宅開発紀行、ウィズライフの3社においては、元新生ホームなどにいたとされる役員が、それぞれの会社に派遣されていたと指摘した。また、営業手法のマニュアルも、情報が共有されている点を確認しているとしている。記者会見で消費者庁は、「新生ホーム同様の苦情がすでに多く出ている」と話した。新生ホームなどと3社において、資本関係は特にないという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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