【Amazon出品〈気になるトピックを徹底解説!〉】第4回 広告の新たな展開で成長を見込む

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■2強に切り込む

 現在のデジタル広告の世界的なシェアを見ると、GoogleとFacebookが2強となっています。この大手が独占している市場に、今後Amazonも加わるのではないかとみられています。
 Amazonは2014年まで、Amazon内で、消費者が過去に購入やクリックをした商品の情報に基づき、消費者の趣味・嗜好に合った商品を表示する「レコメンド」を中心に行っておりました。現在では「レコメンド」を中心としながらも、消費者が広告だと気がつかないような、自然な形での広告展開を、顧客満足を優先しつつ行っています。他モールのような、出品者へのメール広告の提案も、まだ行っていません。
 ただ、Amazonはここ数年、広告事業に非常に注力するようになっています。広告事業は、主力のクラウド事業を超えるほどの成長をみせているのです。
 米国のAmazonの広告事業の最近の具体的な動きとしてはまず、Googleショッピングの広告枠の購入を取りやめました。Googleで検索した場合、Amazonの商品が表示されなくなりますので、消費者がAmazonで直接検索する機会が増えていくでしょう。
 また、Amazonでは、Amazon内で販売している商品の広告を、外部のウェブサイトやアプリにも表示できる、新たな広告の提案を、出品者に向けて開始しました。商品の露出を、Amazon内だけでなく外部でも増やすことにより、Amazonへの流入と、Amazonでの購入を促すことができます。今後Amazonは、Amazon外への広告展開をさらに強化していくのではないかと、筆者は考えています。
 こうした動きは、GoogleとFacebookに対する宣戦布告ともいえそうです。Amazonは、全世界1億人のプライム会員に向けて、直接広告を打てるだけでなく、プライムビデオなどあらゆる自社サービス媒体にも広告展開ができます。今後のAmazonの広告事業の拡大は、計り知れません。


■広告提案も多様化

 国内の出品者向けにAmazonが用意している広告としては、「スポンサープロダクト」と「ヘッドライン検索広告」の二つがあります。いずれも、Amazon内の消費者がキーワード検索を行った際に、自社の商品を上位に表示させることが可能になります。現在ベンダー向けに提供しているAMS(Amazonマーケティングサービス)広告についても、Amazonは今後、出品者向けに拡大開放していくと考えられます。
 出品者としては、これらのAmazon内の広告を利用するだけでなく、Amazonが強化に動いている、外部からの流入にも、自ら取り組んでいく必要があるでしょう。
 今後は、出品者間の広告競争がさらに激化するでしょう。開発した自社ブランド商品を巧みな広告を通じてヒット商品に育て上げるといった成功事例も増えてきています。広告で成功するためには、今まで以上に、顧客目線の商品展開を考える必要があります。商品単体でいかに差別化できるかということをしっかりと検討していくことも、対策として重要になってくるでしょう。


〈プロフィール〉
 比良益章(ひら・ますあき)
 2006年楽天入社、ECコンサルタント、マーケティング担当などを経験。2009年アマゾンジャパン入社、新規開拓営業、コンサルタント業務に従事し、5期連続でトップ成績を獲得。2010年アグザルファ設立、代表取締役に就任し、Amazon専門のコンサルティングを展開。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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