レディースアパレルブランドを展開するアルページュ(本社東京都、野口麻衣子社長)は、自社ECサイト「Arpege story(アルページュストーリー)」など、複数のチャネルでECを展開している。22年2月期のEC売上高は、前期比15%増の38億円となった。特に伸長目覚ましい自社サイト(自社アプリ含む)については、前期比50%の増収になったという。同社の成長を牽引する野口社長に話を聞いた。
■EC売上は右肩上がり
─EC事業の直近の業績について聞きたい。
EC事業は右肩上がりで成長している。自社サイトの伸びは目覚ましく、前期比50%の増収となった。
当社は03年に、初の直営の実店舗をオープンした。しばらくは実店舗が中心だったが、現在はEC・リアルともにバランスよく販売を行っている。現在実店舗は約30店舗ある。
ECを開始したのは12年。当初は、ECの売り上げが伸びると、実店舗の売り上げが落ちるのではないかと懸念していた。実際には、ECの伸長に比例して、実店舗の実績も拡大した。理由について考えると、ECで各ブランドのニュースを大量に発信していることだと捉えている。ECの顧客に商品の情報などのニュースが届くことで、サイトだけでなく実店舗にも興味を持ってくれるようになり、送客につながったと実感している。
■EC先行販売で実店舗送客
─OMOの取り組みは行っているか。
「Arpege story Original(アルページュ・ストーリー・オリジナル)」というブランドの商品については、必ず自社ECサイトから販売を開始するようにしている。毎月25日に新商品を先行発売する。ECでの先行販売の後は、実店舗での販売をスタートする。そうすることで、ECで購入できなかった場合に、実店舗に行くきっかけになっている。
店舗在庫はECからも確認できるようになっており、取り置きも可能だ。取り置き対応は昨年11月からスタートしたが、利用するお客さまが非常に多い。EC経由で、店舗での試着を申し込むことができるようにもしている。こうしたOMOの施策に、今後も注力していく予定だ。
─アプリで初めて商品を購入する顧客が多いということだが。
当社のお客さまを見ると、最初は「アプリ」から入ることが多い。お客さまにとって利点の多いアプリとなっているからだろう。アプリでは、実店舗のポイントカードのポイントの蓄積や、店舗・ECの在庫確認なども行える。オンライン・オフラインで横断的なサービスの提供を行っている。
─創業からこれまでの歩みを振り返ってほしい。
アルページュは両親が41年前に創業した。
(続きは、「日本ネット経済新聞」7月7日号で)
【プロフィール】
のぐち・まいこ氏
立教大学社会学部卒業後、両親が創業し経営しているアパレル会社の事業に興味を持ち、98年頃にアルページュに入社した。アルページュでは、人気ブランド「アプワイザーリッシェ」をはじめ、数々のブランドのディレクターや、取締役を兼任。17年に社長に就任した。
【アルページュ 野口麻衣子代表取締役社長】 〈レディースアパレル展開しOMOにも注力〉自社EC売り上げ50%増に
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