【八代目儀兵衛 神徳昭裕取締役】 〈SEO対策を強化、新規顧客獲得へ〉斜陽産業の中で紅一点の輝き (2022年3月31日号)

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 コメの卸やECを手掛ける八代目儀兵衛(本社京都府、橋本隆志社長)の業績が順調に推移している。21年7月期のEC売上高は、前期比10%増だった。今期のEC売上高も、10%増に伸長する見通し。斜陽産業といわれるコメ業界の中で、増収を続ける同社の神徳昭裕取締役にECの販売戦略などを聞いた。

 ─前期の売上高は好調だったと聞いた。
 前期(21年7月期)のEC売上高は前期比10%増だった。具体的なEC売上高は公表できないが、会社全体の売上高が14億円。そのうち、半分以上がECの売上高だ。コメ離れが進み、いわゆるパン食の文化が浸透する中、善戦したと捉えている。今期のEC売上高も10%増の着地になるだろう。
 ─業績好調の要因は。
 主に外的要因と内的要因の二つがあると考えている。社会情勢を見るとコロナ禍で、結婚式が中止になっている。友人や会社の人など、大勢を招いての結婚式はやめて、親戚だけでひっそりと挙げることが増えている。親戚からのご祝儀の金額が増えているようだ。
 前期と今期を振り返っても、結婚内祝いで購入される平均単価が上昇している。コロナ前の20年は5000円の商品がよく購入されていたが、21~22年は1万~1万5000円の商品がよく購入されている。


大手とかぶらないキーワード設定

 ─内的要因について詳細を聞きたい。
 前期と今期において、特にSEO対策に注力している。当社はコメを販売しているが、主にギフト利用を見越した商品設計にしている。そのため、昨年11月から現在にかけて、インターネット検索からの流入方法を強化している。
 具体的には「キーワードの設定」。「結婚内祝い」で調べると検索上位は、大手百貨店のECサイトやギフトECが羅列される。そこを相手に戦っても効率的ではない。別のキーワードを設定することに意識を向けた。
 昨年11月からコツコツとSEO対策を行った結果、「結婚内祝い ハイセンス」という言葉は、大手百貨店ECや雑貨EC、ギフトECは取り入れていないことに気が付いた。
 当社の商品もギフト需要を見込んだもので、組み合わせによっては高額にもなる。この言葉で対策したところ、今年に入ってからは検索結果で1位、2位をキープできるようになった。検索した結果、LPから流入してくる消費者が多い。
 ─「香典返し」で調べても、貴社が検索上位に出てくる。
 「香典返し」はいざ送ろうと思っても、何を送ったらいいのか、反対に何を送ってはいけないのか、細かいルールがある。

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月31日号で)

【プロフィール】
 大手カタログ通販企業に新卒入社。黎明期のネット通販事業立ち上げを経験。モバイルEC責任者としてサイト運営を担当。19年、江戸寛政から続く京都の老舗米屋「八代目儀兵衛」のCMOに就任。21年、取締役に就任。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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