【羅針 田中拓郎シニアマネジャー】 〈楽天SOY3年連続受賞〉35%増収で50億の大台へ (2022年3月3日号)

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 ECと実店舗で高級腕時計を販売する羅針(本社東京都、穴井孝美社長)は楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021で腕時計のジャンル賞を獲得した。ジャンル賞の受賞は、今年で3年連続。22年2月期のEC売上高は54億円を見込んでおり、前期比で35%の増収となる見通しだ。2月5日には新たに、銀座に新店舗をオープンした。実店舗とECの、品ぞろえと在庫数を増やすことにより、今期は実店舗・ECともに、30%の増収を目標に掲げている。大幅増収の要因と、今後の展開について、シニアマネジャーの田中拓郎氏に話を聞いた。

 ─増収の要因について教えてください。
 高級腕時計の市場価値は年々高まっています。その中でも特にロレックスの人気が高く、価値も上がり続けています。当社は売り上げの6割を、ロレックスが占めています。ロレックス人気を追い風に、人気のモデルを仕入れ、在庫を切らさなかったことが最大の要因だと考えています。
 市場価値が上がっているため、今までの腕時計を売って、新しい腕時計を買う人も増えています。当時の買い値を売り値が上回るケースも珍しくないため、よりよい時計に買い替えやすい環境になっているのだと思います。市場として追い風なのは間違いありません。あとはどれだけ自社のECに集客できるかになってきます。
 ─ECの集客で意識していることは。
 当社のECでは、自社ECの売り上げが一番大きく、楽天の2倍ほどあります。初めての高級腕時計を楽天で購入し、その後、2本目以降を自社ECで購入するといった傾向があるようです。そのため、自社ECの方が単価が高く、購入回数も多くなっています。
 楽天は、新規顧客を獲得できる場所です。高級腕時計を買うのが初めての人でも買いやすい価格帯の商品を増やしたり、目立たせることにより、新規顧客の獲得につなげています。
 自社サイトはSEO対策などで、「どれだけ上位に表示させるか」が勝負ですが、楽天市場は「楽天内の検索で見つけてもらえるか」が勝負だと思います。各サイトに見合った戦略を立てて、展開していくことが重要です。
 楽天では、検索されやすいワードを盛り込むのはもちろんのこと、「信頼されるショップ・商品」であると評価されることが重要だと考えています。その評価がレビューです。良いレビューは、顧客からの信頼だけでなく、楽天側からの信頼にもつながってくると思います。
 楽天側としても、売り上げを上げるため、「有名な店舗」「実績のある店舗」を打ち出したいはずです。商品についても、単に売れているということだけでなく「レビュー数が多く、評価も高い」ことを打ち出したいはずです。実際に楽天側が、どういった基準で選定しているのかは分かりません。ですが、どうやったら上位に表示されるのかを日々分析し、考えることが、結果として売り上げアップにつながっているのだと思います。


■価格と在庫が鍵

 高級腕時計は、相場が日々動くという特性があります。そのため、競合の価格を確認し、価格の修正を細かく行っています。他社の価格との乖離(かいり)は、売り上げのロスやクレームにつながるため、注意が必要です。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月3日号で)

22年2月にロレックス専門店を東京・銀座にオープン

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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