【タンスのゲン 橋爪裕和常務取締役】 〈前期売上高は227億円〉アプリ・コラボ商品で発信力強化 (2021年12月9日号)

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 家具ECを手掛けるタンスのゲン(本社福岡県、橋爪福寿代表)の売上高が順調だ。21年7月期の売上高は前期比20.0%増の227億2037万円と大幅な増収だった。リモートワーク用家具や生活家電の需要増加を追い風に事業を拡大している。足元では、スマホアプリの提供やインフルエンサーとの商品開発などを通じて、新たな顧客接点の創出や発信力の強化に取り組んでいる。橋爪裕和常務取締役に、前期の振り返りや今期の注力点などを聞いた。

■2040年までに売上1000億円

 ─昨年度(21年7月期)の増収要因について教えてください。
 コロナ禍による巣ごもり需要の増加やEC利用者層の拡大などが、売り上げを大きく押し上げました。その中でも、デスクやオフィスチェアなどリモートワーク用家具の販売が特に伸びました。
 生活スタイルの変化に合わせて、ラインアップや各サイトでの打ち出し方を最適化したのも売り上げ拡大の要因です。昨年度は、空気清浄機などの生活家電や高価格帯家具の取り扱いも拡大しました。定額給付金による消費喚起もあり、こうした高価格商品の利用増加が、平均客単価の向上にもつながっています。
 販売チャネルでは、自社ECサイトである「本店」の売り上げが特に好調でした。20年秋に実施したサイトリニューアルや「本店」独自のサービス拡充なども、その要因となっています。
 ─今期(22年7月期)の売上高見通しは。
 売上高としては、昨対比でわずかに上昇しているという状況です。ワークデスクなどリモートワーク用家具の販売は昨年度と比べて落ち着きをみせ、その代わりに冬用の季節家電や寝具などが好調です。昨年の段階でラインアップを拡充したことが増収につながっています。
 今期は売上高255億円を目標に置き、ラインアップやサービスの拡充を続けています。室内家具に加え、アウトドア用品や家電といった分野でも一定のマーケットを確保できるよう、商品力を強化していきます。
 ─中長期的での売り上げ目標は。
 売上高については、24年までに300億円、40年までに1000億円という中期目標を社内で周知しています。毎年10%の成長を続けていければ、到達できる目標設定です。


■自社サイトのアプリを提供

 ─今期の注力点について教えてください。
 「顧客第一主義」を掲げる当社にとっては、ECで実店舗を超えるサービスをいかに提供できるかが究極の課題となっています。こうした観点からも、お客さまとより近い距離でのコミュニケーションを図れる「本店」の強化は当面の注力点です。
 昨年実施した「本店」のリニューアル後は、より細かい部分までサイト管理が行き届くようになり、商品の魅力を届けやすい環境を構築できるようになりました。
 「本店」では、撮影に使用した商品などを従来の半額で販売する「アウトレットバーゲン」も不定期で実施しています。こうした独自企画や特集ページも差別化につながっています。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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