【ラズホールディングス 戸田貴久CEO】 〈モンゴルで起業のレザーブランド〉「原価」を公表 46%成長で着地予定(2021年11月25日号)

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 ラズホールディングス(本社東京都、戸田貴久CEO)は「モンゴルに産業を創る」という理念の下、モンゴルの職人とともに製造するレザー商品のブランド「HushTug(ハッシュタグ)」を運営している。21年12月期のEC売上高は、前期比46%増の2億4000万円での着地を見込んでいるという。同社では、「製品の原価」を公表するなど、独自の取り組みを行っており、ファンから厚い支持を獲得している。同社をけん引する戸田CEOに話を聞いた。

■きっかけはモンゴル移住

 ─モンゴルで起業した経緯について教えてください。
 17年5月に、25歳でモンゴルに移住しました。それまで国内で展開していた、ウェブメディアやアフィリエイト関連の事業はすべて、役員や社員に任せることにしました。知り合いの経営者から、「モンゴルを訪れる予定なのだ」と偶然聞かされたことが、移住のきっかけになりました。深い考えもなく、「一緒にモンゴルについていきたい」と言った結果、本当にモンゴルに渡ることになりました。
 モンゴルを訪れてみると、驚くことばかりでした。冬はマイナス40度になる極寒の地で、貧しい人々は電気がないため、タイヤなどを燃やして暖をとって生活していると知りました。街中を歩くことが危険なほど、大気汚染も進行していました。一方で、日本にはない、人々や地域のエネルギーを感じました。「面白そう」と、移住を決意しました。
 現地の現状をつぶさに見る中で、高品質なモンゴルレザーに出会いました。
 モンゴル原産のレザーは、厳しい寒暖差を耐え抜いた動物だからこその頑丈さや、品質の高さが好評で、イタリアンブランドなどに採用されています。しかし、モンゴルの現地には、高品質な商品を作る、”技術力”や”デザイン力”などが乏しく、社会的なリソース不足から、付加価値の高い製品の生産ができないという課題がありました。モンゴルレザー業界は、原皮などを低価格で販売しているという状態でした。
 そこで、「高品質なモンゴルレザー」と「日本の技術とデザイン力」とを組み合わせることにより、世界に通用する製品を生み出そうと考え、「ハッシュタグ」ブランドを立ち上げたのです。
 ─起業後は順調でしたか。
 モンゴルでの起業は困難の連続でした。現地で革職人を探しても、「そんな面倒な仕事はやりたくない」などと、断られ続けました。原料供給の不安定さや、言語の壁など、さまざまな障壁がありました。1年以上試行錯誤を続け、ようやく製品化が実現しました。
 当社では「モンゴルに産業を創る」という目標を掲げています。より具体的には、「現地で職人1000人を雇用する」ことを目指しています。現地の職人には?独立?を目指してもらっています。現地の人たちが自分たちの手で、職人を育成し、事業を拡大させることができる仕組みを構築し、モンゴルでの「産業化」を進めていくことが最終目標です。実際に、当社の職人の中から既に1組が独立を果たしています。当社との取引も開始しています。
 「モンゴルに産業を創る」という目標は、一人の力で達成できるものではありません。大きな目標に向け、現地の職人と力を合わせて進んでいきたいと考えています。


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 ─ファンから人気ということですが秘訣は。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月25日号で)


【プロフィール】
戸田貴久(とだ・たかひさ)氏
 鳥取県出身。岡山大学経済学部卒業後、鳥取銀行に入行。1年後に退職し、上京。ITベンチャー企業で下積みを経験した。15年1月にラズホールディングスを創業。17年5月に単身でモンゴルに移住。同年11月に事業売却で得た資金で、モンゴルレザーブランド「ハッシュタグ」を立ち上げた。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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