【オイシックス・ラ・大地 高島宏平代表取締役社長】 〈連結売上高1000億円到達〉サステナブルな小売業を目指す(2021年10月21日号)

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 オイシックス・ラ・大地は21年3月期に、ECなどを含む連結売上高が1000億円に到達した。三つの食品EC・宅配ブランドに加え、NTTドコモや三越伊勢丹と行うEC事業も好調だ。フードロスの削減などを主眼に置いた「サステナブルリテール」を目指し、環境問題対策として取り組むグリーンシフト戦略を推進している。高島宏平社長に、今後のビジョンなどについて聞いた。

 ─21年3月期に連結売上高が1000億円を突破した。
 時短でも充実した食事をしたいというニーズはもともとあり、会員数が増えていることに加え、コロナ禍で自宅に滞在する時間が長くなり、購入する量が増えたことも寄与した。グループで展開する「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の全ての事業に加え、提携して展開する「dミールキット」「ISETAN DOOR」といった食品のBtoC―ECという領域でも共通した傾向になっている。
 ─「らでぃっしゅぼーや」と「大地を守る会」を統合した効果は。
 3ブランドの共通領域に関しては、一緒に展開することでコストのメリットがあり、ノウハウも共有ができる。ちょうど、「Oisix」の生産者が足りなくなってきていた状態だったので、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の力を借りて増やすこともできた。
 人材面でも優秀な人材を一気に増やすことができたことは大きい。成長のスピードに人材採用が追い付いておらず、課題となっていた。1社で採用したら大変だったと思う。現在では、誰がどの会社出身なのかが分からなくなるくらいになっている。一方、とりわけ統合した難しさはなかったと感じている。
 企業理念として「食に関する社会課題をビジネスの手法で解決する」を掲げている。そのためには、当社そのものが事業を大きくしていかないと実現はできない。3ブランドを一つの会社として統合した時に、この理念を改めて考え、浸透を図ってきた。
 ─「ミールキット」を販売する企業が増えている。
 ミールキットについてはまだまだ認知されていない。さまざまな企業が販売していくことで知っている人が増えればいい。スマホやカーナビが広く浸透したように、将来的には「以前は食材を買っていたらしいよ」などと言われるようになればいい。知ってもらうためには、ミールキットを使ったことがある人を増やすことが必要と考えている。そのためにECだけでなく、食品スーパーの店頭にもコーナーを設けて購入できるようにしている。また、全国600カ所の保育園にも導入している。保護者は当社の顧客対象でもあるので「Oisix」を知ってもらうことが必要と考えている。


■未来に通用する小売業に

 ─今後の成長イメージについて聞きたい。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月21日号で)

〈プロフィール〉
高島宏平(たかしま・こうへい)氏
 東京大学大学院修了後、マッキンゼー日本支社勤務を経て、00年6月にオイシックスを設立。13年に東証マザーズに上場。16年、買い物難民への移動スーパー「とくし丸」を子会社化。17年に「大地を守る会」と、18年に「らでぃっしゅぼーや」と経営統合し、食材宅配3ブランドを擁するオイシックス・ラ・大地の代表取締役社長に就任。21年4月に公益社団法人経済同友会の副代表幹事に就任、広報戦略検討委員長、ソーシャルデータリサーチ設立検討委員長を務める。1973年神奈川県生まれ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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