【全国漁業協同組合連合会 石川和彦参事】〈「JFおさかなマルシェ ギョギョいち」開設〉全国の漁師が薦める旬の幸を直接提供

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 全国の漁業協同組合が加盟する、全国漁業協同組合連合会(JF全漁連、本部東京都、岸宏会長)は2月28日、魚の産直品のECサイト「JFおさかなマルシェ ギョギョいち」を開設した。全国にある産地の漁師が薦める旬の海の幸を消費者に直接販売する。ECサイトを立ち上げた経緯や今後の事業展開について、ECサイトの責任者である石川和彦参事に聞いた。

 ─国内の魚を取り巻く環境について教えてください。
 日本人の魚の消費量が年々減っています。肉と比べても大きく差が開いています。伝統的に日本人は魚を食べたいというニーズがあり、どの世代からもそういった支持を受けています。
 消費量が減っている大きな要因の一つは町の魚屋さんが減っていることです。現状、魚を購入する店は食品スーパーが7割を占めています。一昔前は、町の魚屋さんが「食の伝道師」の役割を果たしていました。魚に関する知識もしっかりありましたし、調理する人が求める形に立ってさばいたり、調理の仕方をアドバイスするなどの対応をしてくれていました。こうした方のおかげで生産者と消費者の距離感が今よりも近くにありました。
 食品スーパーなどではパックに詰めて商品棚に並べてあるだけで、少し無機質な印象もあります。食品スーパーの場合は、一定の品ぞろえや品質、一定の価格を求められていることもあり、その季節の旬などはあまり関係なく、販売する傾向にあります。例えば漁場が近い地域でも、大手スーパーに行けば都市部と同じような魚が売っていたりします。
 日本は地域によって採れる魚が違ったり、調理の方法にも違いがあります。旬も大事にしてきました。
 ─流通形態も他の食べ物とは異なると聞きます。
 魚の場合、産地仕様が確立されておりまして、問屋、仲卸しなどが品定めした上で買い付けて市場に流通されています。
 大手食品スーパーの台頭で、大量に仕入れる事業者もあり、浜に近いところまで買い付けに来ています。産地、問屋、小売の流通形態が大きく変わってきて、従来の市場流通そのものが変わりつつあります。その結果、バイヤーの力が強くなり、産地側の収入が少なくなってきています。


■消費者との距離なくす

 ─ECに参入したのはなぜですか。
 通販・EC業界は市場規模が拡大し、食品のマーケットも成長しています。こうした現状を踏まえ、生産者団体としては流通構造を一部変えて、生産者と消費者の距離をなくすような取り組みが必要と考え、産地と消費者を直接結びつけるECを始めることにしました。結果的に、生産者の所得が増えることにつながるものと考え、全国の組合から10道県に参加をいただき、昨年8月から検討会を始めました。
 ─ECサイトではどんなことをコンセプトにしたのですか。

(続きは、「日本ネット経済新聞」4月30・5日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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