【ユーグレナ 永田暁彦取締役副社長COO】 「ユーグレナ」の認知はまだこれから

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 微細藻類「ユーグレナ(ミドリムシ)」を素材にした健康食品や化粧品の通販を展開するユーグレナでは19年、永田暁彦取締役副社長のもと、デジタルマーケティングチームの刷新を図った。ユーグレナではこれまで、インフォマーシャルや新聞広告などのオフラインの広告をメインに展開していた。永田副社長としては、デジタルマーケティングを少しずつ強化することにより、デジタルシフトを実現したい考えだ。ターゲットは30~50代のミドル層だという。「『ユーグレナ』という素材の認知は道半ば。中長期的に、顧客の購入チャネルをECに移行させつつ、素材自体のPRを続けていく」と話す永田副社長に話を聞いた。

 ─19年9月期の売上高は、創業以来初の減収減益となりました。要因はなんだったのでしょうか。
 前々期の18年9月期は、ユーグレナエキスを使った化粧品のオールインワンクリームへの広告投資が過剰でした。19年9月期は、その過剰な広告投資を抑制しました。オールインワンクリームの顧客のLTVが目指した数値を達成できなかったので、広告投資を抑制すれば、売り上げが下がるのは当然の結果でした。
 ─19年9月期の決算説明会では、「デジタルシフト」の方向性を掲げていました。これまでオフラインが主体だったところを、どのように「オンライン」主体へと転換していく考えでしょうか。
 まず、19年9月期から、デジタルマーケティングのチームを私が直接的に統括する形にし、組織を強化しました。それ以前は、デジタルマーケティングに特化した人材が少なかったのです。新しいデジタルマーケティングのチームでは、商品を訴求するだけでなく、さまざまな顧客体験を提供できるような商品・サービスの設計をしています。
 そもそも、我々は、当社のことを「通販会社」だとは思っていません。「ユーグレナ」という食品素材を最初にPRした際、「ユーグレナ」に目を向けてくれた人はシニア層が多かったため、顧客の獲得効率が良い、インフォマーシャルなどのオフライン通販を展開してきたというだけなのです。
 当時は、マーケッターとして、オフラインを得意とする人を採用していました。マーケティングのカギを握るのは人なのです。


■素材の認知拡大進める

 私は、「ユーグレナ」という食品素材の認知がまだまだ進んでいないと考えています。ちまたを歩く人に、「ユーグレナを知っていますか」と聞いて、何か答えられる人は、正直なところ少ないでしょう。「ユーグレナ」という素材の認知は一定程度あったとしても、素材がもたらす便益に関する認知度はさらに低いと考えています。「ユーグレナ」を飲んだらどうなるか、ということが知られていないのです。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月20日号で)

〈プロフィール〉
永田 暁彦(ながた あきひこ)氏
 82年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、独立系プライベートエクイティファンドを経てユーグレナに入社。取締役を経て現職。全事業を統括するとともに、日本最大級の技術系VC、リアルテックファンドの代表も務めている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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