【チュチュアンナ 上田崇敦取締役副社長、合同会社さくら 仲庭拓也代表】〈大手靴下・インナーSPAがデジタル化に本腰〉200万超のアプリ会員生かしEC化推進

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チュチュアンナ・上田崇敦取締役副社長(写真左)と合同会社さくら・仲庭拓也代表

 靴下や下着の企画・販売を行い、グローバルに550店(国内は263店)を展開するチュチュアンナ(本社大阪府、上田利昭社長)がデジタルシフトを加速している。リアル店舗と卸売りに加えて、今期(20年7月期)からECサイトでの販売を強化している。「世界中の女性に喜びと感動を届ける」というミッションのもと、国内外でリアルとネットの連携を強化する。今後、リアル店舗で獲得した200万人以上のアプリ会員を基盤に、EC事業を拡大する方針だ。チュチュアンナの上田崇敦取締役副社長と、同社のECを支援する合同会社さくら(本社大阪府)の仲庭拓也代表にEC事業の現状や成長戦略、デジタルシフトの展望を聞いた。

 ─EC事業の現状は。
 上田 19年7月期は連結売上高が273億円だった。当社は卸売りから始まっており、年商30億円規模に拡大した後、リアル店舗を全国展開することで現在の規模まで成長してきた。EC化率はあまり高くない。
 以前は当社の主力商品である靴下や下着は、アパレルほどEC化率は高くならないだろうと考えていた。だからこそECに大きく投資はせずに、売り上げに見合った組織やコストで運営し、損益を重視してきた。
 ただ、競合他社のEC化率などから、それなりの市場規模があることが分かってきた。当社は「世界中の女性に喜びと感動を届ける」というミッションステートメントを掲げている。この理念を実現するためには、何もリアル店舗だけにこだわる必要はない。店舗、卸、ECを通じて、喜び、感動を届けていきたいと考えている。
 ─そもそもチュチュアンナの強みとは。
 上田 強みはMD(商品政策)にある。当社では”良安感楽(りょうあんかんらく)”のもの作りにこだわっている。”良安(良い品を安く)”を掲げている企業は多いが、当社では「ベーシック&コンテンポラリー」という商品コンセプトのもと、定番アイテムに加えて、トレンドや時代性、季節感を反映した商品を安く提供している。特に18~25歳くらいをターゲットにしたもの作りには、圧倒的な強みがある。トレンドアイテムを安く販売することで、お客さまに”感楽(感動や楽しさ)”を提供できていると思う。


■アプリからECに誘導

 ─ECはどのように強化しているのか。
 仲庭 ECではお客さまが求めている顕在的な商品を提案するのはもちろん、体の悩みを下着で解決することなど、潜在的な要求を提案して売り上げにつなげられるサイトを構築中だ。
 お客さまがいつでもどこでも商品を購入できる体験と環境を作ることに注力している。さらに、EC限定商品をそろえたり、EC先行販売を実施したりするなど、リアル店舗のお客さまがECで購入したくなる仕組み作りも進めている。
 上田 お店と同じ体験をECでも実現させることが重要。そのために、女性の悩みやニーズに対応した商品のラインアップを拡充している。睡眠時にバストの形を整える「おやすみブラ」は人気商品だ。初めてブラジャーを着ける女の子向けのファーストブラや、スポーツの際に着用するブラジャーなどシーンに合わせた商品も開発している。こうした商品はECに向いている。
 仲庭 商品のラインアップが増えると店頭よりもECの方が商品を探しやすくなる。ECサイトで自分の悩みやシーンに応じた商品を簡単に発見できれば、お客さまに感動を与えられる。購入のしやすさ、商品の魅力を伝える画像、スタッフによる商品紹介など、ECサイトをリニューアルし、見せ方を強化している。
 ─ECサイトに顧客を誘導する方法は。
 上田 国内にある263店において、レジを通過する顧客数は年間1500万~1600万人いる。スマホアプリをリリースしたときにものすごいスピードでダウンロード数が伸び、すでに200万ダウンロードを超えている。これは店頭で「アプリでポイントをためられますよ」と言い続けた結果だ。店頭の力を生かし、アプリのユーザーを増やし、ECに誘導していくのが王道だと考えている。
 仲庭 顧客接点を増やすためにアプリ以外にLINEにも力を入れている。3カ月間で約40万人の友だちを獲得でき、EC売り上げの10%をLINEで作ることができている。LINEでつながったライトな店舗顧客を、アプリ会員や通販会員にすることで、リピートさせる施策も実施中だ。お客さまとの親密度により、段階的にお客さまとつながる方法を作ることで、それぞれの層に合ったリピート施策に取り組むことができている。


■求むデジタル人材

 ─今後、さらにEC化やデジタルシフトを加速するために取り組むことは。
 上田 当社は小売りを科学していきたいと考えている。すでに主要な100店には来店客の行動を可視化するカメラを導入している。入店客数やレジ通過客数を把握することで、リアル店舗のコンバージョンを計測できる。店長の感覚で運営していた店舗を科学的に分析することで、課題が把握しやすくなった。ECではもともと、データを収集できるが、リアル店舗でもデータを踏まえた運営方法に挑戦している。
 今後、さらに重要になるのがデータを分析し、小売りを科学できる”デジタル人材”だ。大量にデータを取れる仕組みは作っているが、それを分析したり、解釈したり、対策を練ったりする社内の人材が不足している。新しい力を積極的に登用し、チャンスを提供したいと思っている。一緒に世界へ挑戦する仲間を求めている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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