【BASE 山村兼司取締役COO】 〈上場で店舗拡大に弾み〉EC参入を資金調達でも支援

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 無料でECサイトを開設できるプラットフォーム「ベイス」を展開しているBASE(ベイス)は19年10月、東証マザーズ市場に上場した。上場により認知度向上と売り上げの拡大に弾みをつける。「ベイス」利用によるネットショップの開設数は80万ショップを超えている。競合と比較しての「ベイス」の優位性や、決済事業、資金調達サービス、10月末から取りざたされた売上金失効問題への対応策などについて、山村兼司取締役COOに聞いた。

■競合他社とも切磋琢磨

 ─ネットショップの開設数は80万を超えている。「ベイス」の販促の秘訣は。
 18年からテレビCMを行っており、サービスを知ってもらう機会となった。上場したことで、無料サービスでありながら、テレビCMで広く認知されている点で安心感を与えることができたと思う。
 創業以来、初期費用がかからず、月額の基本料も無料という形態を貫いていおり、一般に広くサービスが知られてきたと感じている。自然とショップの開設数が伸長した。
 ─ネットショップを運営する人はどのような人か。また、今後はどのような人に利用してほしいか。
 インフルエンサーのように、一定のファンがいる個人の利用が多い。
 また、「ベイス」はそういった人に寄り添ったサービスでもある。創業当時から、ブロガーのような個人に寄り添ったネットショップの開設サービスを提供してきた。昨今、さまざまなSNSが台頭している。「自分のファンとコミュニケーションをとりたい」と思ったタイミングで「ベイス」を選んでもらうというケースが典型的に増えてきたように思う。
 インフルエンサーによる利用が進んでいることが後押しとなり、流通額の伸長とインフルエンサーの増加が重なってきた。
 これからも、ネットショップを開設したい人が一番初めに着手しやすいネットショップ開設サービスでありたい。
 ─同じくECサイト構築システムを提供するストアーズ・ドット・ジェーピー(SDJP)など、競合と比較しての優位性は。
 優位性は、資金ニーズの部分までネットショップ開設者の支援ができる点だ。例えば、18年1月に設立した100%子会社の「BASE BANK(ベイス バンク)」などがそれに当たる。
 決済事業においても、シンプルで使いやすく、最安値水準の低コストで提供している点を長所ととらえている。
 ネットショップ開設サービスを提供している他社については、競合しているというよりは「一緒にマーケットを作っている」という感覚が強い。創業から7年経過したが、やっとビジネスが生まれるようになってきたように感じている。
 国内のEC化率は、米国などの海外と比べるとまだ小さい。ネットショップ開設のマーケットには、何兆円という未開拓の市場があると思う。他社とも切磋琢磨しながら、一緒に市場を大きくしていきたいと思っている。


■売上金失効問題に対策

 ─売上金失効問題を背景に11月29日、ネットショップの売り上げが自動振り込み対応となる。売上金獲得までの仕組みと、ネットショップ運営者の反応は。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月21日号で)

〈プロフィール〉
山村兼司(やまむら・けんじ)氏
 立命館大学卒業後、食品メーカーを経て、04年リクルートに入社。学び事業、共同購入サービス「ポンパレ」、CS推進、ECビジネス推進室、「Air(エア)レジ」などで事業企画やマネジャーを歴任。17年1月にBASEに入社。Eコマースプラットフォーム「ベイス」の事業推進と組織体制の強化を図り、18年6月に取締役COOに就任。1978年生まれ、京都府出身。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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