【友安製作所 友安啓則代表取締役社長】〈今期20%増収の見通し〉オリジナル商品の開発に注力

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 床材や壁紙、カーテンなどのDIY商品のECサイト「Style D’art(スタイルダート)」を運営する友安製作所(本社大阪府、友安啓則社長)の20年1月期におけるEC売上高は前期比20%増となる見通しだ(売上高数値は非公表)。同社の強みは、16のECサイトがそれぞれ違った運営や集客方法を行っている点にある。新しい試みとして19年6月に、「ホームパーティー推進委員会」を発足。現在、34社が登録している。家に人を招く文化を作り上げることで、住宅事業者全体の発展につなげたい考えだ。友安啓則社長に今期の取り組みなどについて話を聞いた。

 ─今期の売り上げ予想について教えてほしい。
 今期のEC売上高は、30~40%増を計画していたが、競合が増えてきていることもあり、このままいけば20%増で着地する見通しだ。消費増税もあり、19年9月の単月売り上げは前年同月と比べ急伸した。10月も、前年同月比10%増となっている。
 当社はウェブデザイナーを9人ほど抱え、それぞれがECサイトの運営を行っている。9人が創意工夫した中で運営を行う。9人が連携して制作やSEO対策、日々のサイト運営をしている点に強みがある。
 ECの売り上げが計画通りに伸びなかったのは、昨今、海外から日本向けに販売をする「逆越境Eコマース」の住宅関連事業者が台頭しているのが理由だ。海外の事業者の価格は安く、そちらに顧客が流れてしまっていると分析している。内装商材のインテリアやアートなどの場合、どうしても価格が優先されてしまう。価格勝負になると、海外勢に押されてしまうため、今後はより差別化できる商品開発や集客方法を検討する必要がある。
 その逆風の中でも、近年は固定客がつき始めた印象を受ける。ECサイトの作りこみだけでなく、リアルイベントを通したファン作りがうまくいっている結果だと認識している。引き続きイベント集客や自社の露出を増やしていくなどして認知拡大を図っていきたい。


■台湾EC売上高30%増

 ─海外売り上げも順調に伸びていると聞くが。
 当社は、15年8月から台湾に進出し、販売を行っている。台湾での売り上げは毎年伸びている。20年1月期の売上高は30%増となる見通しだ。実は、台湾の住設関連のマーケットはそれほど大きくはない。しかし、販売展開していく余地がないわけではなく、「ポテンシャルが高い」と判断し、これまで事業を進めてきた。台湾では、商品の質よりも価格で選ぶ傾向がまだ強い。事前の調査では、若年層の7割が価格しか見ていないことが分かっている。しかし価格で選ぶ消費者の中にも「より良いものを選びたい」というニーズがあることが分かった。台湾では、商品購入者に自動的にアンケートを送付している。その回答を分析してみて、そうしたニーズがあることが分かり、ポテンシャルの高いマーケットだと判断した。しかし、日本も海外も一緒で、商品が良くなかったりすると悪いレビューを書かれてしまうので、展開する商品や質には十分に気を付けている。
 台湾展開では現在、台湾人と日本人の2人が対応している。現地でマーケティングリサーチを行っている台湾人スタッフと、日本で台湾のサイトのデザインを考える日本人スタッフの2人だ。2人のコンビネーションも増収につながっている要因と分析している。現在、台湾では壁面に簡単に貼れるタイルやカーテンレールの販売が伸びている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月14日号で)

〈プロフィール〉
友安啓則(ともやす・ひろのり)氏
 1978年生まれ。大阪府出身。高校1年から米国へ留学。シアトル市立大学にて経営学修士を取得。商社に就職後、友人とともに車のパーツを輸入販売する会社を設立。04年に日本へ帰国し、父親が営む友安製作所へ入社。インテリアの輸入商材を販売する新事業を立ち上げ、05年にECをスタート。16年4月に友安製作所の三代目社長に就任した。趣味はキャンプ、ホームパーティーが得意。社内では全員あだ名で呼びあい、友安氏は「ボス」と呼ばれている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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