【ミルボン 経営戦略部 坂下秀憲部長】〈EC代行事業を開始〉美容室の店販リピートをネットで支援

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 ヘアケア商品や化粧品など美容室向け商品の卸を行うミルボンはこのほど、美容室向けのEC代行事業を開始した。2023年までに、EC代行による卸売り総額18億円を目指す。EC代行サイト「プロフェッショナルECサイト」に登録した美容室に代わって、サイト運営、受注、物流を担う。行きつけの美容院がミルボンから仕入れている商品がネットで購入可能となる。23年までに、ECの運用代行を登録する美容室は5000店舗を見込む。EC支援事業進出の狙いなどについて、EC事業の責任者を務める経営戦略部の坂下秀憲部長に話を聞いた。

■スキンケアから開始

 ─EC代行事業に進出した狙いは。
 美容室で商品を購入した人のリピート率を改善し、美容室の売り上げ拡大に寄与するためだ。
 ECの環境を整えれば、店販のみと比較して1年後の商品リピート率が18%向上する見込みだ。美容室にとって負担になりやすいサイト運営や受注、物流業務を当社が受託する。
 美容室の成長を後押しするため、それぞれの美容室に来店した人だけが登録して利用できるECサイトにする。ミルボンではなく美容室の店舗名がECサイトに表示される仕様になる。
 顧客は信頼している美容師から商品を購入している感覚だ。来店しなくても購入できる方法としてECサイトの利用を促す。美容師は顧客の購入履歴が確認できるので、次回来店時のアフターフォローに生かすことができる。美容師ごとの売り上げ管理もできるようにした。
 現在は、コーセーと共同開発したスキンケア化粧品のブランド「インプレア」がECで購入できる。今後はラインアップを拡充し、当社が卸売りの主力としているヘアケアブランド「オージュア」「ミルボン」「ヴィラロドラ」を、20年夏ごろまでにECでも取りそろえる考えだ。現在、このヘアケア3ブランドの卸売り総額は90億円以上。ECの本格化で、さらなる売り上げ拡充を期待している。
 ─新事業による収益モデルは。
 収益は、販売代理店を通じた美容室への卸売りで得ていく。美容室のサイト登録や、美容室に来店した人がECサイトを利用するのは無料だ。ECで商品を購入した人には、1回につき600円の配送料を負担してもらう。美容室はシステム利用料としてプラス150円上乗せし、代理店に支払う。代理店はさらに利用料150円を上乗せし、1回の注文につき900円をミルボンに支払う。ミルボンはこの900円を配送料とシステム料に充てる。


■高いリピート率見込む

 ─主力のヘアケア商品ではなく、スキンケア化粧品をEC展開していくことにしたのはなぜか。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月26日号で)

〈プロフィール〉
坂下秀憲(さかした・ひでのり)氏
 01年、ミルボンに入社。経営企画や商品企画を経験した後、10年に子会社MILBON USA’INC.の代表取締役社長に就任。18年1月から現職。富山県出身。

高価格帯のスキンケア化粧品「インプレア」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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