【壽屋 清水一行社長】 〈天猫国際に出店〉/中国向け商品開発に生かす

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 ホビー商材メーカーの壽屋は1月18日、アリババグループが運営する越境ECモール「天猫国際(Tモールグローバル)」に出店した。「KOTOBUKIYA 海外旗艦店」の店舗名で、オリジナルコンテンツ「フレームアームズ・ガール」のプラモデルなどを販売している。中国における直販ルートを持つことで現地顧客のニーズを調査し、中国向けの商品開発に生かす考えだ。越境EC本格化の第一歩と位置付けている。越境ECの展望や、メーカーとしてECを展開するノウハウを清水一行社長に聞いた。


国で異なる売れ筋

 ─「Tモールグローバル」に出店する狙いは。
 メーカーとして出店することで商品に対する信頼度を高め、中国内の売り上げをさらに伸ばすのが目的。すでに中国向けには卸販売事業を展開しており、手応えを感じている。「ここでなら本物が買える」という販路として位置付け、将来的には中国で得たノウハウをもとに越境ECの領域を拡大したい。
 卸販売事業をすでに展開しているので、出店により売り上げが飛躍的に拡大するとは考えていない。どういうお客さんに、どういったニーズがあり、何が売れるのかを調査し、中国での売り上げをけん引する商品の開発に役立てる。
 北米ではBtoBで事業展開しているが、日本やアジアとは売れ筋商品が異なる。プラモデルやフィギュアよりも、映画の登場人物に関連したグッズなどの売れ行きが好調。そういった傾向を中国でも探っていく。
 現状、「海外旗艦店」では、自社のオリジナルコンテンツ「フレームアームズ・ガール」や「メガミデバイス」などに関連した商品を販売している。国内と同様、直販サイト限定の特典を付けるなどして、独自性を確保する必要性を感じている。取引のある販売代理店とも話し合いながら、共同で市場を活性化させたい。
 ─国内では自社コンテンツの映画化が決まるなど、一定の認知度がある。中国ではどうか。
 趣味のものなので、アニメなどに感度が高い人には知ってもらっている。中国の展示会「CCG EXPO上海」に出展したり、雑誌へ広告を出稿したりしてきた。中国のSNS「Weibo(ウェイボー)」に開設した公式アカウントでも定期的に情報発信してきたので、特定の分野の人には認知されていると自負している。
 国内ECと同様、自社コンテンツは強みになるはずだ。すでに中国向けにプラモデルのオリジナルパーツを製作するなど商品開発も進めている。当社が定価で販売している一方、他社は当社の商品をディスカウントして販売しているので、独自性を確保することは重要だ。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月7日号で)

〈プロフィール〉
しみず・かずゆき氏
 1954年、東京に生まれる。78年4月、壽屋に入社。先代の清水一郎氏の後継として、86年6月代表取締役社長に就任。日本プラモデル工業協同組合の専務理事も務める。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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