【ビームス 矢嶋正明開発事業本部EC統括部部長】”ヒト”を核にしたオムニ戦略で成長

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 ビームス(本社東京都、設楽洋社長)は、「ヒト」を核にしたオムニチャネル施策に注力している。スタッフによる情報配信を強化し、顧客の関心を引いて関係性を深め、リアル店舗やECサイトに来訪を促すことで着実に成果を上げている。自社ECサイトを中心に成長し続けている。スタッフコンテンツ強化の戦略や19年に注力する動画施策について、開発事業本部EC統括部の矢嶋正明部長に聞いた。

 ─16年5月に自社ECサイトを刷新した狙いは。
 05年に「ゾゾタウン」に出店して、EC事業をスタートした。ECで売り上げがこんなに上がるのかというインパクトがあった。08年ごろにECモール一辺倒ではなく、自社ECサイトが必要だと判断した。ただし、運営リソースと商品在庫の確保が一番大きな課題。そこで「ゾゾタウン」との共通化をスタートトゥデイにお話しさせていただいた。
 ただ、スタートトゥデイに構築してもらった自社ECサイトは、「ゾゾタウン」との共通性が強く、サービスの自由度の低さが常に課題だった。ブランディングとサービスレベルをどう高めるか検討を重ね、全面的に切り替えることにした。当社としてはECシステムを自分たちでハンドリングすることが課題解決につながり、全社的にメリットがあると考えた。特に、実店舗とのサービスを共通化したり、シームレスな顧客体験を実現したかった。
 リニューアルに際しては、初期の段階からオムニチャネルのビジョンを掲げ、企画を進めていった。4カ月差で2段階のリニューアルを実施し、第1フェーズでECサイトを刷新し、第2フェーズで公式サイトとECサイトを統合した。特にデザインの一貫性、UIやUXにも配慮し、スマホファーストの思想を貫いた。それと、自社物流内に自社EC専用の出荷レーンを作った。配送やカスタマーサポートまで自社で完結しているのも当社の特徴と考えている。
 ─店舗スタッフによるコンテンツが充実している。これもリニューアル後に始めたものなのか。
 スタイリングコンテンツは自社ECサイトの初期から提供している。当時から人気のコンテンツであり、リニューアルでさらに強化した。ブログは、もともとショップブログという形で別のドメインで配信していた。お客さまにとっては行き来するのに手間がかかり、導線設計もきちんとできていなかった。現在は統合した公式サイト内でスタッフのスタイリングもブログも全て一元化してある。スムーズなオンライン体験の提供を心掛けている。

■売上の6割が経由
 ─スタッフコンテンツに注力する理由は。
 自社ECサイトをリニューアルする時期は、全社的に「ヒト」にフォーカスを当てていこうという方針に切り替わっていくタイミングでもあった。私はデジタルの利点を生かした方法を提案し、スタッフコンテンツの強化に取り組んだ。
 月によって異なるが、スタッフコンテンツ経由の自社EC売り上げが6割近くになるときもある。スタッフにはフォロワー数や閲覧数だけでなく、どのくらい購買につながったかなど約10項目の実績値を公開している。
 ─スタッフのモチベーションを高める方策は。
 自分の投稿とデータを見て、お客さまの反応が分かるとやりがいにつながると思う。18年からはスタッフコンテンツの表彰制度を導入し、全社で表彰を実施した。人事評価に反映する仕組みも、今後は構築を目指したい。

(続きは、「日本流通産業新聞」1月10日 号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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