【ゲンナイ製薬 上山永生社長】「引きの商売」で妊活市場のシェア拡大狙う

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上山永生氏

上山永生氏

 妊活サプリなどのECを運営するゲンナイ製薬(本社東京都、上山永生社長)は、「妊活中の女性」という限定的な市場に対して訴求するため、顧客の最大のニーズや心理的傾向などを分析しつつ、「引きの商売」を心がけ、ECの運用を行っているという。広告展開においても、「売りたい」「買ってほしい」という売り手の意思が前面に出るものは極力避け、「安心できる製品を自分で見つけた」という意識を顧客に持ってもらえるよう心掛けている。「引きの商売」の考え方や、健康食品EC市場の見通しなどについて、上山社長に語ってもらった。

■「引きの商売」が顧客獲得の秘訣

 ─ECを運営する上で意識していることはありますか。

 ページデザインも、商品の紹介文も、可能な限り「シンプル」であるよう心掛けています。「売りたい」というメッセージを前面に出しすぎると「お客さまは逃げる」と考え、「引きの商売」を意識しています。
 妊活サプリは誰かに勧められて飲むものではありません。製品を強くプッシュしても、売りつけられている、と感じてしまいがちです。「信頼できるものを自分で見つけた」という気持ちになってもらえるよう運営を行っています。
 ウェブ広告に関しても、「引き」の姿勢をとっています。顧客アンケートを行って、顧客の購入前の検討期間の長さなどを分析し、リターゲティング広告の運用に役立てています。ただ、やみくもに広告を出し続けることはしません。サイトを訪問してくれた見込み顧客に嫌悪感を抱かせないように心がけています。今後は、ユーザーにとっての利便性をさらに高めるため、商品の発送通知などを、メールではなくLINEで送信する機能を導入したいとも考えています。


■信頼獲得のため「専門企業」に

 ─創業当初から妊活サプリの通販に特化していたのでしょうか。

 09年の通販事業開始当初は、敏感肌用クリームを販売していました。その後、妊娠のための体質改善サプリメント「ミトコプラス」の開発・販売を経て、葉酸サプリ事業に乗り出しました。妊活中の方は、品質や企業の信頼性を非常に重視します。さまざまな製品を手広く販売しているよりも、ある分野の製品を専門的に開発・販売を行っている企業の方が、お客さまに信頼していただけるのではないかと考えたのです。そこで、他の製品の製造販売を取りやめることに決めました。
 現在の主力商品、葉酸サプリメント「プレミン」シリーズは年間約140万個売れています。昨年2月に販売を開始したばかりなので、まだまだ伸び代があると考えています。

 ─「プレミン」の特徴は。
 
「妊活から15週まで」「16週から出産まで」「出産後授乳時」という三つのステージごとに製品を展開しているという点です。母体の状況によって摂取すべき栄養は異なります。そのため、厚生労働省が定めた時期区分と摂取すべき栄養に則り、その時期にふさわしい成分配合を行いました。
 葉酸サプリは他社からも多数発売されていますが、こうした時期ごとに異なる成分を配合した商品を展開する試みは当社だけだと自負しています。


■「三方よし」の精神を実現

 ─顧客対応についてはどのように考えていますか。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月20日号で)


〈プロフィール〉
上山永生(うえやま・ひさお)氏
 1992年 大阪府立枚方高校卒業後、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。卒業後、芸人として舞台やテレビなどに出演。2005年から、フリーでテレビのスポーツ番組の構成作家として活動。09年にゲンナイ製薬株式会社を設立し、代表取締役に就任。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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