【CROOZ SHOPLIST 張本貴雄 代表取締役社長】「探しやすさ」の改革に着手

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 クルーズは持ち株会社制移行に伴い、ファッションECモールを運営するSHOPLIST(ショップリスト)事業を、3月14日付で新設したCROOZ SHOPLISTに承継する。分社化することで経営の意思決定を迅速化。グループの中核事業であるファッションEC「ショップリスト」への投資を強化する方針も明らかにしている。CROOZ SHOPLISTの代表取締役に就任した張本貴雄社長は、中期目標である流通総額1000億円を達成するため、商品のリードタイムを改善し、「探しやすさ」の改革に着手する。

 ─前期(17年3月期)の「ショップリスト」の増収率は12.6%だった。成長率は鈍化しているのか。

 前期は整備の年だった。16年3月期に200億円の手前まで売り上げを伸ばしたが、成長性の高い他社のリピート率と比べてみると当社の実績は満足できる水準になかった。メガセールのたびにユーザーアンケートを実施し、サービスの認知率やユーザー評価などを調べている。そこで見えてきたのが「商品の品質」という課題だ。「商品の品質」と一言でいうと粗悪な商品を売っているように聞こえるがそうではなく、サイトで見た商品画像と生地質や色味が異なっていたり、伸縮性が思った通りではなかったり、サイズが合わなかったなどの不満が「品質が悪い」という評価になっている。
 次に見えてきた課題が「配送スピード」だ。当社では、事前にブランドから売れ筋の商品をお預かりし、迅速に顧客に届ける「スピード便」というモデルと、お客さまから注文が入ったタイミングでブランドに当社の物流センターに商品を発送いただくモデルを採用しており、後者の場合どうしてもリードタイムがかかってしまう。万が一ブランドの手元に商品がない状況があればお客さまをお待たせすることになり、「ショップリスト」全体の評価を下げてしまう可能性もある。

 ─課題解決のために打った手は。

 昨年5月に出店ブランドを招いて開催したカンファレンスは、「ユーザーギャップゼロ」がキーワードだった。具体的には「ブランドランク」という制度を導入し、配送のリードタイムや遅延率、商品の欠品率、新商品の陳列具合、商品画像の枚数など細かい指標を規定した。
 さらに、商品情報のリッチ化もブランドにお願いしている。これまでは他のプラットフォームで使用しているデータをそのまま載せているケースが多かった。ただ、「ショップリスト」独自のユーザー体験を作っていかないといけないので、ブランドには商品情報の充実をお願いしている。
 「ブランドランク」は検索順位や露出面、ブランドニュース、メルマガなど、ユーザーとの接触頻度が高い部分に影響してくるため、お客さまにはより良い商品の提供ができ、ポジティブな購入体験からリピートにつながることで、結果としてブランドの売り上げ向上、またサイト全体の売り上げ向上を可能とする。昨年7月からテストし、9月にはブランドにも見える形にした。


■商流のハブとなる

 ─新たな物流センターを開設するなどフルフィルメントを強化している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月14日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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