【〈オイシックスドット大地と資本業務提携〉NTTドコモ ライフサポートビジネス推進部 櫻井稚子食文化事業担当部長】国内のオーガニック市場をともに拡大したい

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 NTTドコモは1月30日付でオイシックスドット大地と資本業務提携し、年内にも食材とレシピをセットにした「ミールキット」のオリジナルブランドを立ち上げてECを始める。ABCクッキングスタジオの社長を務め、現在はNTTドコモのライフサポートビジネス推進部で食文化事業を担当する櫻井稚子部長に、らでぃっしゅぼーやの売却の経緯やオイシックスドット大地との資本業務提携の経緯について聞いた。

東京五輪が注目の機会に

 ─────今回の売却や提携はいつ頃から検討していたのですか。
 以前からオイシックスドット大地(オイシックス)とさまざまな面で協業をする中で、昨年の秋から検討を始めました。以前から、食品のECや日本の第一次産業についての課題というものを話す機会がありました。
 なぜ、このタイミングかというと、両社の状況や将来のことを見据えたときに、2020年の東京オリンピックが日本の有機・低農薬(オーガニック)が世界から注目をされるいい機会になると考えたからです。日本の有機・低農薬(オーガニック)の市場は、着実に成長はしているものの、飛躍的に伸びているわけではありません。欧米では、年間2桁で成長している状況を考えれば、まずは日本でオーガニックの食材を知ってもらうことが必要なのではないかと考えました。オイシックスドット大地と一緒になって市場を広げていく方が、スピード感を持って取り組めると思います。

 ─────オイシックスドット大地とはこれまでどのような接点があったのですか。

 NTTドコモグループとしては、らでぃっしゅぼーや、ABCクッキングスタジオが、東北の復興イベントや収穫祭などでオイシックスと関わってきました。
 これまでは市場で競合する商品は扱いにくいという面がありましたが、お客さまの視点からみれば便利さがなくなってしまいます。1社でできないことも、数社で知恵を出し合って課題が解決できるように考えています。
 NTTドコモでは、これまでのモバイル通信企業から「付加価値協創企業」への転換を図っています。新たに「プラスd」という考えを主軸に取り組んでいます。知見を持ち、その業界に強みを持った企業と組むことで、当社が持つエッセンスを加えて新たな事業を創出することができます。今回もオイシックスドット大地と資本業務提携することで新たなシナジーを生み出すことを目指しています。

 ─────らでぃっしゅぼーやの18年2月期の業績は最終赤字になる見通し。この点は売却にどのような影響を与えたのですか。

 らでぃっしゅぼーやについて経営課題がないといえばうそになります。これはどの企業にも常にあり続けるもので、形を変えて解決していけるものもあります。当社だけが、らでぃっしゅぼーやをグループとして飛躍的に伸ばせるかというと、将来がなかなか見えなかったということです。
 傘下に収めた当時は、国内のオーガニック市場が欧米並みに成長し、拡大すると考えていました。(売却理由の一つが)業績ということもありますが、日本のオーガニック市場を変えたかったという大きなテーマで考えています。オイシックスとらでぃっしゅぼーやでは顧客層が異なります。
 一方で、オーガニック市場でオイシックスが成長を続けていることを考えたときに、製品力だけではなく、マーケティングやブランディングに長けているという面があると思います。
 互いに強みが異なる企業が一緒になることで、さまざまな面で効率化され、お客さまへのメリットも生み出せるのではないかとも考えています。

(続きは、「日本ネット経済新聞」3月8日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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