【オフィスコム 室木剛 社長】今期売上高は40%増を予想/ユーザビリティー追求でリピーター定着

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 オフィス家具のECサイトを運営するオフィスコム(本社東京都、室木剛社長)は16年以降、売り上げが急成長している。16年12月期の売上高は前期比54.3%増、今期も約40%の増加を見込んでいる。ECサイトの利便性向上や、在庫拡充による納期短縮など、ユーザビリティーを追求。リピーターの定着に成功したのが要因だ。一時的な売り上げを目指すのではなく、顧客の立場に立ったサービスを展開する姿勢を維持してきた。室木社長に、売り上げが伸びた背景や施策について聞いた。


■"売り込まない"姿勢

 ーーー社長に就任して間もなく1年がたちますが、この1年でどういった発見がありましたか。

 オフィスコムとして大事なことを再認識した1年でした。ユーザビリティー、お客さまが求めているものは何かを考えさせられました。当社では「売り込まない」ことを社内に浸透させています。売り上げ、利益を重視するあまり、特定商品に偏った販売をするとユーザーは減少します。しかし、売り上げは伸ばしたい。お客さまと売り上げの間で葛藤がありました。

 ーーー「売り込まない」とは具体的にどういったことでしょうか。

 お客さまを大切にする姿勢です。売ろうとすることばかりを意識しますと、商品の品質や、お客さまがリピーターになっていただけるかを考えるよりも、「今これを売りたい。買ってもらいたい」ということばかりを重視してしまいます。私たちが売っているオフィス家具というのはオフィスの成長があっての市場だと思っています。買っていただいても品質が伴っていなければ結局は続きません。オフィスコムはストックビジネスではありません。ストックビジネスと呼ばれる唯一のものといえばリピートしかありません。当社が一番いい商品と思った商品をお客さまに提供していかなければ、ネット通販では通用しないと考えています。

■納期短縮で売り上げ急増

 ーーー16年12月期の売上高は前期比54.3%増でした。増収要因は。

 15年、16年で強化したのは、納期の明確化です。ただ単にメーカーから商品を仕入れて売るだけだと、どの会社が行っても同じです。当社にできる価値を考えたのが物流の効率化でした。そこで16年には物流施設を移転し、在庫の拡充を行いました。お客さまが欲しいと思ったときに商品が正確に届くような施策を行いました。17年はお客さまの動向を見ながら、いかにPB商品を増やして在庫を持てるかということを意識しました。PB商品の種類や商品数を増やしています。

 ーーーPB商品の開発過程は。

 海外の工場に生産を依頼しています。中国の工場がメインですが、最近は東南アジアの工場とも新たに取引を始めました。商品の企画、品質管理は自社で行っています。安定した在庫を持つために、今後も常に一定の品質で工場を開拓し続ける必要があります。現在、デスクやチェア、ホワイトボードに人気が集まっています。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月14日号で)


【プロフィール】
室木剛(むろき・たけし)氏
 1976年生まれ。京都府出身。通信代理店、人材派遣会社を経て、2009年オフィスコムに入社。17年1月、代表取締役社長に就任。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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