【オークファン 代表取締役 武永修一氏】ネットプライス買収の狙いは?/BtoC本格化で取引先を強力に支援

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 オークション検索・比較サイトを運営するオークファンは11月1日、共同購入サイトなどを運営するネットプライス(本社東京都、小谷北斗社長)を12月1日付で完全子会社化すると発表した。オークファンは250万人の会員を抱えるネットプライスを傘下に収めることで、BtoC(個人向け)EC事業を本格化する。BtoB(法人向け)仕入れサイトなどを展開する同社は、新たな販路を手にすることで取引先の支援体制をさらに強化できると考えている。武永修一社長にネットプライス買収の経緯や買収後の展望を聞いた。


 ーーーネットプライスを買収し、BtoC―ECを本格化するのか。

 BtoC―ECを本格化する布石は打っていた。今年7月にサンプリングサイト「OTAMESHI(オタメシ)」を開設したところ、メーカーから好評だった。このようなクローズドなサイトなら商品を供給したいという声をいただいていた。
 どのメーカーも在庫が余っていることは、表立って言えない。変に在庫を横流しして、ECモールなどで安売りされでもしたら、ブランドの価値が下がる。「オタメシ」はこうしたニーズに応えることができる。
 BtoCのサービスを手掛ける中で、これまで提供していたBtoB仕入れサイト「NETSEA(ネッシー)」だけではなく、BtoCをもっと広げた方が、取引先の悩みに応えられると考えていた。こうした折にネットプライスの話をいただき、買収することを決めた。

 ーーー既存事業との相乗効果も期待できるのか。

 ネットプライスは約250万人の会員を抱えているだけでなく、約2000社のベンダーネットワークを持っている。当社ではすでに「ネッシー」で約5000社、滞留品や返品など、訳あり商品の流動化事業「リバリュー」で約1000社の商品供給先との取引がある。グループの取引先が拡大することで、それぞれの事業で相乗効果が期待できる。
 ネットプライスの取引先に「在庫を『リバリュー』が買い取ります」という提案ができる。「ネッシー」や「リバリュー」の取引先に、「ネットプライスを通して一般顧客向けに販売してみませんか」と提案することも可能だ。

■単体でも黒字化可能

 ーーーネットプライスの業績はV字回復できるのか。

 ネットプライスは単体でも利益を出せると思い、買収する決断をした。改善の余地はいくらでもあるとみている。
 例えば社内に倉庫について分かっている人間がいない。現在は24億円ぐらいの売り上げ規模だが、年商が100億円を超えていたときの規模で倉庫を運営している。現状なら外部の倉庫を使った方がいいかもしれない。配送は現在、1週間に1回しかしていない。アマゾンは注文の翌日には商品が届く。リードタイムも顧客離れの原因となっている。仕組みを変えるだけでコストをかけなくても毎日出荷できる体制に変更できるはずだ。
 現在は取引先の提案に基づき、仕入れる商品を選んでいる。これまでに蓄積した売買データを使えば、オリジナルのヒット商品を開発することも可能なはずだ。過去にヒットした商品の復刻版を作れば、またヒット商品を生み出せるかもしれない。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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