【特集 イチ押し支援サービス】 〈インタビュー〉ペンシル 倉橋美佳社長/「人」が商品の通販コンサル

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 ウェブコンサルティング事業を展開するペンシル(本社福岡県、倉橋美佳社長、(電)092―515―1000)は、女性を管理職に積極的に登用したり、シニアやLGBT、Uターン人材を採用したりする、ダイバーシティ経営の取り組みを行っている。18年には、福岡市から働き方改革推進企業としての認定も受けた。顧客のニーズが多様化している通販業界において、従業員の多様な視点をから細やかなサービス提案を行っているという。「『人』を商品としてサービス提案を行う」と話す倉橋美佳社長に、ダイバーシティ経営の取り組みについて聞いた。

■多様性生かした事業運営

 ─ペンシルでは多様性を生かした事業運営として、具体的にどのような取り組みを行っていますか。
 シニアスタッフも勤務するサテライトオフィスを開設したり、社員の親御さんを採用する「親子」採用を推進したりしています。19年3月には、エイジングテックサービスとして、ECサイトが高齢者にとって使いやすいかどうかをシニアスタッフが判断する「SFO(シニアフレンドリー最適化)ラボ」を発足しました。
 現在は、ママ世代の需要を捉える「MFO(ママフレンドリー最適化)」という施策を実施しているところです。ママ世代がどんなウェブサイトから情報収集するのか、ママ世代にとって使いやすいサイトとは何か、などを分析する施策です。
 今の社会は多種多様な人材が受け入れられる時代です。商品やサービスのニーズも多様化しています。ペンシルでは、性別や年齢、性的指向や性自認に関わらず人材を採用して、それぞれの視点を生かして、クライアントのニーズに合ったサービス提案を行っています。
 実際の事例として、不動産関係のクライアントに対して、同性カップルなどのマンション購入の相談を受けるサイトの構築に、当社のスタッフのアイデアが採用された事例もあります。それぞれの顧客視点に立って初めて提供できるプロダクトがあると考えています。社員の働き方改革という視点だけでなく、多様性がものづくりと直結すると考えています。


■女性管理職採用で活気

 ─倉橋社長は女性の管理職として、通販・EC業界について、どう考えますか。
 老舗の通販企業では、化粧品のような女性向けの商品を扱っていながら、管理職が男性という企業が多いです。社員の8割が女性という企業でも、管理職の多くが男性というケースもあります。一方、女性の管理職がいる企業は、女性スタッフをやる気にさせるエネルギーがあると感じることが多いです。
 企業はロールモデルがなければなかなか変わることが難しいです。当社の取り組みを参考にしてもらえればいいと考えています。
 当社はUターン人材の採用も積極的に行っています。当社は福岡県にありますが、例えば、東京・大阪の大手企業に勤めた経験があり、地元の九州・福岡で活躍したいという人材などを募集しています。地方と都市部の両方の価値観を共有している人材を採用し、新しい発想をプロダクトにしたいと考えています。
 私は女性の管理職として、これまで残業もバリバリして、男性的な働き方をしてきました。今はそれができない時代になりつつあります。今後、仕事を成功させるキーになるのは、「時間」ではなく仕事に対する「思い」なのです。「思い」をプロデュースしていく企業になりたいと考えています。

ママ世代の需要を考える「ママフレンドリー最適化」

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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