〈消費増税対策調査〉 9月末に一時休店の事態も/キャッシュレス還元の登録駆け込みも

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 EC企業の間では、10月1日の消費増税に向けた準備が大詰めを迎えている。本紙の姉妹紙である日本流通産業新聞が7月下旬から8月上旬にかけて行った、増税に関するアンケート調査では、「増税後の反動(冷え込み)があると思う」とする企業が、EC実施企業46社中30社に上った。増税後の消費の冷え込み対策として期待される「キャッシュレス・消費者還元事業(キャッシュレス事業)」にも、多くのEC企業が登録しているようだ。一方で、8月20日にEC企業に追加取材を行った時点でも、「増税対策はこれから」という企業が多かった。自社の商品が軽減税率の適用対象かどうかについて把握していないという企業も複数あった。ECのコンサルティングを行う専門家は、「増税が出荷日起点になることから、既存のシステムで対応できず、9月末に一時休店する店舗も出てくるだろう」と予想する。EC各社の増税の対応状況をまとめるとともに、消費増税のポイントを改めて解説する。

■資材や送料の増税も課題

 消費税率の8%から10%への引き上げに伴い、一部の商品の税率を8%のまま維持する軽減税率制度が導入される。軽減税率の対象となるのは、食品表示法に規定される「食品」。生鮮食品(米・野菜など)、加工食品(パン・乳製品・茶・ジュースなど)が含まれる。機能性表示食品や特定保健用食品を含めた健康食品も軽減税率の対象だ。酒類は軽減税率の対象にはならない。
 軽減税率の対象商品だけを扱う単品EC事業者の場合、10月1日以降も、ECサイトの表記を変更したり、内部システムを改修したりする必要はない。
 健康食品と化粧品のセット商品のような一体商品については、「税抜き価格が1万円以下で、食品価額の占める割合が3分の2以上」の場合、軽減税率の対象となると定めている。
 食品や健康食品を扱う通販・EC企業からは、「軽減税率対象商品を販売しているため、駆け込み対策も冷え込み対策も行わない」(八幡物産、やずやなど)といった声が聞かれた。一方で、「軽減税率の対象商品ではあるが、梱包用の箱や送料には消費税が上乗せされるため、このままだと利益が減少する」(たからや商店)と言う企業もあった。「軽減税率のことが一般に周知されていない」(市川園)との見方をする通販・EC企業もあった。


■出荷日から適用

 EC企業にとって、「税率の引き上げは商品の出荷日から適用」という規定も、大きな課題となっている。増税前の9月末に注文を受け、消費者に8%の税率で金額を提示しても、9月中に発送ができない場合、新税率の対象になってしまう。EC企業のコンサルティングなどを手掛けるワンプルーフ(本社東京都)の仲村和浩取締役によると

(続きは、「日本ネット経済新聞」8月29日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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