〈改正薬機法〉 医療用医薬品もオンラインで/規制緩和に備えるEC企業も

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薬剤師がPCを使ってオンライン服薬指導を行う様子(アイアンファーマシーズ)

薬剤師がPCを使ってオンライン服薬指導を行う様子(アイアンファーマシーズ)

 医療用医薬品が、EC事業者にとって、大きな成長チャンスになる可能性が出てきた。医療用医薬品をオンラインで購入できる枠組みができつつあるからだ。次の臨時国会で審議が予定されている改正医薬品医療機器等法(薬機法)案は、薬局の薬剤師が行う必要がある服薬指導を、テレビ電話などで行えるようにする、「オンライン服薬指導」の解禁を盛り込んでいる。18年からは、愛知県などの国家戦略特区限定で、オンライン服薬指導の実証実験がスタートした。実証実験には、調剤薬局大手が続々と参入しており、非対面での指導の知見を蓄積している。解禁されれば、特区だけでなく全国で、医師が発行した処方箋さえあれば、薬剤師がオンラインで医療用医薬品を提供できるようになる。将来的に、医療用医薬品がECで購入できるようになる可能性があり、将来の規制緩和に向けて薬局を拡充するなどの準備を進めるEC企業もある。

■処方箋医薬品をオンラインで

 オンライン服薬指導とは、薬局の薬剤師が患者に対して、PCやタブレットを使ったテレビ電話の形式で、処方箋に基づく医療用医薬品の服薬の指導を行うもの。
 現在実証的に行われているオンライン服薬指導では、スマホなどでオンライン診療を受けた後、医療機関から処方箋が薬局に送付される。スマホでの服薬指導を経て、配送で薬を受け取ることができるという仕組みになっている。
 オンライン服薬指導で薬剤師が提供できる医薬品は、医師が発行する処方箋で示されたものだけ。処方箋が必要ない医療用医薬品は、オンライン服薬指導の対象にはならない。
 18年6月からは、愛知県や福岡市などの複数の特区で、実証的にオンライン服薬指導が行われている。実証実験には、日本調剤(本社東京都)やアインファーマシーズ(本社北海道)といった調剤薬局大手が参入している。特区では、離島などのへき地に居住している患者に対し、対面での服薬指導が実施できない場合に限り、オンライン服薬指導が行われている。
 日本調剤がオンライン服薬指導を行っている愛知県瀬戸市の調剤薬局では、患者に提供する医療用医薬品については、薬剤師が店舗で商品を梱包し、郵送する形をとっているという。
 18年6月には政府の規制改革会議で、「国家戦略特区の実証等を踏まえつつ、薬機法の改正に盛り込むことを視野に入れて検討する」方針が閣議決定され、薬機法改正案に盛り込まれた。
 薬機法の改正案は、6月に閉会した通常国会ではほとんど審議されず先送りになったが、次の臨時国会で審議が順調に進めば、年内にも成立する可能性がある。


■服薬状況の把握を義務化

 薬機法の改正案では、

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月11日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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