〈百貨店化粧品動向〉 強まるECでの存在感/リアルとネットの融合進む

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 百貨店を主戦場とする化粧品ブランドがECでの存在感を強めている。資生堂の18年1—9月期における国内自社ECサイトの売上高は、前年同期比20%以上増加した。運営店舗を縮小するハウスオブローゼは、18年4—9月期(中間期)のEC売上高が同30.4%増の1億4400万円だった。シスレージャパン(本社東京都、ジェローム・ドヴィレ社長)も今年に入りECを本格化。人材を強化するほか、10月に楽天市場に出店するなど販路拡大を図っている。一方、化粧品通販企業は実店舗や催事などリアルを活用した戦略を展開している。化粧品業界におけるECとリアルの融合は、ますます進みそうだ。

■資生堂は会員登録数2割増
 資生堂は20年までに連結売上高に占めるECの構成比率を15%に引き上げることを目標にECを強化している。国内向けに自社ECサイト「ワタシプラス」を運営。「ワタシプラス」の18年1—9月末までの延べ会員登録数は、前年同期比約20%増となる約360万人となっている。
 詳しい増収の理由を資生堂は開示していないが「ブランド別に行ってきた施策が奏功した。国内におけるEC需要の高まりも追い風となった」(広報部)と説明する。
 ECの売上高が拡大しているハウスオブローゼは、不採算店舗の退店を継続的に実施している(表参照)。中間期末の直営店舗数は前年同期末より14店舗少ない225店舗。店舗売上高は同2.8%減少した。
 退店した直営店舗の顧客に対し、ECを案内するDMを送っている。購入金額が税込3240円以上の顧客には、人気商品「Oh!Baby!(オーベイビー)」の特典仕様を進呈するといったEC限定の企画も行った。
 中間期における自社ECサイトの売上高は同28.7%増の1億1800万円。ヤフーショッピングにも出店しており、ヤフーでの売上高は同38.4%増の2600万円だった。
 ECの新規顧客数は同15%増加し、複数回購入者数も同40%増と顧客が定着し始めている。会員数は前期末の5万人から約20%増加し約6万人となっている。

■ブランド守るモール出店
 外資系の百貨店ブランドも台頭している。シスレージャパンは、およそ半年前からデジタルマーケティングを手掛ける人材を確保するなどECの本格展開を始めた。現在、売り上げ全体に占めるEC売上高は数%。この構成比率を1年以内に十数%に引き上げる計画だ。
 シスレージャパンは「これまではオペレーションを回すのみの運営体制だった。デジタル上のカスタマージャーニーや顧客との接点の創出を一貫して手掛け、デジタル領域を強化する方向性で進めている」(デジタルマーケティング部)と説明している。
 30〜40代といった既存顧客より若い新規顧客の獲得を目的に楽天市場に出店。店頭や自社ECでは2万〜3万円の商品が多いが、1万5000円程度の楽天市場店限定のセット商品を販売している。
 ECモールへの出店によるブランドイメージの変化を懸念するブランドは少なくない。ただ「ECモールは並行輸入品の流通が多いという話も聞く。ブランドを立てるという意味でも出店している」(同)と話す。
 日本ロレアル(本社東京都、ジェローム・ブリュア社長)は、

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月13日号で)

シスレージャパンは楽天市場店の限定商品で新規顧客獲得を図る

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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