〈百貨店系の宅配・EC〉 顧客囲い込み戦略を強化/ECとリアルを融合させ、販促に成果

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 東急グループや高島屋が食品宅配・EC事業の顧客囲い込み戦略を活発化している。東京急行電鉄は来年1月下旬に、東急線沿線を対象に始めた食品やギフト、家事代行などのホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」のグループECサイトを刷新する。ネットスーパーや東急百貨店のECサイトを商品やサービス別に再編し、共通IDで決済できるようにして利便性を高める。高島屋は、首都圏を中心に地域限定で展開する食品宅配サービス「ローズキッチン」で、外商顧客への販促を強化。新たな宅配顧客の獲得に成果にあげている。

■東急GはECサイトを再編
 「東急ベル」は、食品スーパーの東急ストアが手掛ける「東急ストアネットスーパー」とECサイト「東急ストアオンラインショップ」、東急沿線のケーブルテレビのイッツ・コミュニケーションズのECサイト「ポニッツショッピング」、東急百貨店のECサイト「東急ネットショッピング」、東急電鉄が手掛ける「東急ベルセレクト」の五つのサイトを展開。現在の会員数は約10万人だ。
 各ECサイトでそれぞれ会員登録する必要があったほか、別々のカートで決済しなければならず、「お客さまからすれば何がどう違うのかが分からなかった」(リテール事業部 東急ベル・EC推進部 福田育弘課長補佐)と言う。顧客の不便を解消するため、5サイトを3サイトに統合することに決めた。
 生鮮品の「東急ストアネットスーパー」については現状のサイトを維持する。各サイトで横断的に取り扱っていたギフト商品を新サイト「ギフト日和(びより)by東急ベル」に集約していく。
 また、東急沿線で無料配布している月刊フリーペーパー「サルース」(発行部数23万部)と連動したECサイト「サルースオンラインマーケット」を新たに立ち上げる。20〜30代をターゲットにコーヒーやワインなど2000品目を取り扱う計画だ。
 これまでのギフトサイトでは、東急沿線とはあまり関係のない商品も取り扱ってきたが、新ECサイトでは、サルースが掲載している沿線の店舗の商品を積極的に展開する考え。
 まずは、過去に掲載した商品やサービスをサイトで紹介し、サルースの特集企画と連動させていく。新ECサイトは交通広告でも宣伝していくほか、ネット上で影響力のあるインフルエンサーも積極活用していく。商品だけではなく、チケットなど体験型商品などの販売も視野に入れている。
 百貨店などの店頭に来る機会の少ない60代以上の顧客を中心にアフターフォローも強化していく。「ベルキャスト」と呼ばれる訪問サービススタッフが顧客宅でギフトカタログを配布。ベルキャストが注文を聞いてその場で入力するサービスも検討し、顧客の掘り起こしにつなげる。
 グループサイトの再編を機に、各社が対応していたカスタマーサービスも一本化して、ユーザビリティーを高める。
 新たなCRMを導入し、会員のアフターフォローを強化する。顧客情報を一元管理し、どのスタッフでも対応できるようにする。ベルキャストは、顧客対応履歴をもとに”御用聞き”の接客レベルを向上させる。

■高島屋、外商顧客を宅配に呼び込む
 高島屋の食品宅配事業「ローズキッチン」の売り上げが順調に推移している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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