〈大手ECモール〉 海外販売支援を加速/京東は国内に購買センター開設

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「JD Worldwide」の顧客は約半数が25〜36歳

「JD Worldwide」の顧客は約半数が25〜36歳

 海外の大手ECモールが、日本企業向けの海外販売支援体制を強化している。中国のEC大手の京東グループは9月3日、日本に商品仕入れの拠点となる「購買センター」を開設したと発表した。国内メーカーとの直接取引を強化し、1年後には仕入高を2倍に拡大する方針だ。アマゾンは7月、国内のアマゾンの倉庫に預けた商品の海外配送業務を請け負うサービスを開始した。アマゾンは国内企業が海外のマーケットプレイスで手軽に販売できるサービスを提供している。物流面もサポートすることで海外販売を、より手軽に拡大できるとみている。

 京東グループは9月3日、都内で「中国マーケットの攻略法」と題したセミナーを開催した。セミナーには国内の大手メーカーや大手百貨店、大手EC企業が招待された。一般来場者を合わせると400人超が参加した。
 セミナーの冒頭で、京東グループの高級副総裁を務める王笑松氏は、「当社が運営する越境ECプラットフォーム『京東全球購(JD Worldwide)』は年率50%の成長を維持している。流通している商品の約20%が日本の商品だ。『JD Worldwide』のユーザーは、日本の商品を信用し、好んでいる」と紹介した。
 京東グループは15年6月、「JD Worldwide」において日本製品を販売する「日本館」を開設した。これまでも日本企業が「日本館」に出店したり、京東グループに商品を卸すことは可能だった。
 日本製品の販売実績が右肩上がりとなっていることから昨年、日本に支社を開設し、国内向けの営業活動を強化した。さらに仕入れや出店支援の体制を強化するため、「購買センター」を開設した。

■機能を今後も拡張
 「購買センター」の機能は継続的に拡張していく方針だ。
 京東グループの越境EC総責任者の楊葉氏は「購買センター」について、「これまで中国の本社で取扱商品の選出などを行っていたため、日本にはバイヤー機能がなかった。今後はよりスムーズに取引ができ、スピーディーに日本の商品を販売できるようになる。人員は今後、さらに拡大する計画だ」と話す。
 京東グループではまず、日本と韓国に「購買センター」を開設し、今後、米国や欧州にも展開していく計画だという。
 日韓の「購買センター」の責任者を務める朱丹氏は、「購買センターができたことで日本企業は円ベースでの取引ができ、為替リスクがなくなる。海外販売に関する免税手続きや税関の処理、国際物流などワンストップで支援することもできる」と紹介する。
 取扱品目も拡大する方針だ。「現在、日本製品ではベビー・マタニティーやパーソナルケア・化粧品、サプリメント・健康食品などが人気商品となっている。今後はもっと多様な商品を中国に持っていきたい。職人が作った工芸品など日本独自の商品もターゲットとしている」(楊氏)と話す。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月6日号で)

王笑松氏

王笑松氏

楊葉氏

楊葉氏

朱丹氏

朱丹氏

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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