〈EC会社・航空会社〉 越境EC支援事業が本格化/モール開設し、通関など簡略化

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 EC会社や航空・旅行系のグループ会社が海外向けのECモールを開設し、越境ECの支援事業を本格化している。商品情報の翻訳作業のほか、税関に商品情報を事前登録することで、通関手続きを簡略化し、越境EC事業にかかる労力を軽減する。越境ECに参入する企業が増える中、サービス拡充で出店者を取り込み、ECモールを新たな収益の柱にしていく狙いがある。

■80カ国以上に対応

 家具のECサイトを運営するベガコーポレーションは、越境ECモール「DOKODEMO(ドコデモ)」を15年12月に立ち上げた。出店会社数は18年3月現在で約50社。
 ECモールの登録会員数は、17年9月に10万人を突破。16年9月時点で約2万人だったが、1年で5倍に拡大した。現在も伸び続けているという。
 食品や生活雑貨、化粧品など6万品目以上を取り扱う。美容用品やヘルスケア用品、医薬品の売れ行きが順調だ。
 国内から海外の各地へ商品を発送する。日本郵便に配送を委託し、80カ国以上の国と地域への配送に対応している。台湾への配送が4割を占めており、オーストラリア、中国、米国と続く。
 「ドコデモ」は国内にサーバーを置き、日本円で決済を行う。日本の法律が適用されるため、海外に拠点を持つことなく日本国内で運用できるのが特徴だ。システム上で受注から出荷までを管理できる。国別の売り上げ、受注件数の確認や商品別の売り上げを分析する。
 日本語のほか、中国語(簡体字、繁体字)、英語、韓国語に対応できる。出店会社がウェブ上で登録した日本語の商品情報をシステム上で自動翻訳した後、アクセス数の多い商品を中心にネイティブ言語のスタッフが詳細に翻訳していく。
 出店会社が支払う初期手数料は6万5000円で、システムの基本使用料は月1万5000円。商品代金の10%を手数料として支払う仕組みだ。
 「企業からは、初期投資、ランニングコストが低価格な点について評価をしてもらっている」(ドコデモ事業部・中野国弘部長)。
 出店会社の成果も出ている。月間売り上げが1000万円を超える店舗が増加。月間売り上げが3000万円に迫る店舗もあるという。


■商品情報を事前登録

 ANAホールディングスが出資する、越境EC向けのシステム開発などを手掛けるACD(エーシーディー、本社東京都、園田康博社長)は17年12月、越境ECモール「全日空海淘(はいたお)」のサービスを開始した。自社の通関システムを使用することで、日本国内で中国税関への商品登録ができる。



(続きは、「日本ネット経済新聞」3月22日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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