アマゾンジャパン/BtoB通販に参入/社内の購買分析レポートで合理性訴求

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アマゾンビジネスの発表を行う星健一事業部長(左)、ジャスパー・チャン(中央)、Sティーブ。フレイザーヴァイスプレジデント(右)

 アマゾンジャパンが、本格的にオフィス用品などの法人向けECに参入した。アマゾンの法人向けECサイト「Amazon Business(アマゾンビジネス)」では、企業の購買分析レポートの提供など、合理性を追求した機能を備えている。2億品目の品ぞろえと合わせて、他社と差別化したポイントだ。米国版「アマゾンビジネス」では、サービス開始当初の1年間(15年4月~16年3月)に約10億ドル(1100億円)を売り上げた。アマゾンビジネスの国内でのサービス提供開始は、アスクルやMonotaROといった既存のBcB通販企業の事業展開にも大きな影響を与えそうだ。


■購買分析で社内の調達を可視化

 9月20日の発表でアマゾンジャパンは、アマゾンビジネス特有の機能として、(1)月末締めの請求書払い(2)企業ごとの購買分析レポート(3)企業との承認ルールの設定(4)見積書の作成(5)税抜価格表示ーーーといったサービスを提供していくことを明らかにした。
 購買分析レポートでは、商品を購入した日時や品目など、さまざまな観点からのレポートを、アマゾンビジネスが企業に対して提供する。法人内で仕事用品の購買状況を見える化することが可能になるという。企業によっては自社で社内の仕事用品の購買を管理するシステムを構築している。そういった企業と連携して、購買分析のシステムをカスタマイズすることも可能になる。
 アマゾンビジネスの購買分析システムを取り入れた大阪大学の佐藤規朗財務部長は「大学の資材購入先として登録されている事業者は約1万5000社。直近の1年以内で取引のあった事業者だけで7700社もある。教員が立て替えて領収書清算をしているケースも多く、管理するのが困難な状況だった」と言う。アマゾンビジネスのテスト運用で、しっかりと管理できるようになったことを確認したとしている。
「出品のデメリットがない」
 17年3月からアマゾンビジネスのテスト運用は開始されており、テストには数千社の企業が参加したという。アマゾンビジネスで扱う商品点数は、サービスを開始した9月20日時点で2億品目以上、アマゾンビジネスに出品する事業者は数十万社に及ぶとしている。
 法人割引や大量に注文した場合の数量割引にも対応する。現時点でこうした割引の対象商品がどれくらい出品されているかについて、アマゾンジャパンでは明らかにしていない。
 一般消費者向けの「Amazon」に出品している事業者は、簡単な手続きで同じ商品をアマゾンビジネスにも出品できるようになるため、今後、法人割引に対応した商品を出品する事業者は増えるとみられている。
 アマゾンへの商品の出品サポートを行っている複数の事業者に話を聞いたところ、「アマゾンビジネスにも商品を出品すべきか」といった問い合わせが、発表直後から増加しているという。
 アマゾンに出品する事業者のコンサルティングを行っているアグザルファ(本社東京都)では、「アマゾンビジネスに出品するデメリットは現時点では見当たらない。販路が増え、露出も増えることを考えて、クライアントにはアマゾンビジネスへの出品を勧めている」(比良益章社長)と話している。


■ファクス.電話には非対応

 既存のBtoB通販大手とアマゾンビジネスの違いは、アマゾンビジネスが冊子のカタログの発行やファクス・電話での注文に非対応である点だ。アマゾンジャパンでは、「当面は電話などでの注文に対応していく予定はない」(AmazonBusiness星健一事業本部長)としている。ファクスや電話での注文に慣れ親しみ、現状仕事用品の調達にデメリットを感じていない事業者は、すぐにはアマゾンビジネスに移行しない可能性がある。
 ただ、アマゾンビジネスでは、オフィス用品や工具といった定番商品だけでなく、業務用ウイスキーなどの食料品や、教科書を始めとした教材など、アスクルやMonotaROなどのBtoB通販大手と競合しないカテゴリーの商品も前面に押し出している。アマゾンビジネスが、個人経営の飲食店や塾などの中小零細事業者にも、BtoB通販の裾野を広げていく可能性は十分にある。
 大量の購買を希望する企業と、ニッチな商材が欲しい企業双方のニーズをつかみ、トータルで使いやすいサービスを提供していけるかどうかが

アマゾンビジネスで扱うBtoB用品の一部

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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