食品ECベンチャーの動き活発/VCが支援、起業で成功事例も

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
オフィスに冷蔵庫を設置、100円から購入できる

オフィスに冷蔵庫を設置、100円から購入できる

 食品ECを展開するベンチャーの立ち上げが目立っている。ベンチャーキャピタル(VC)による投資も活発で、新規顧客開拓と事業拡大が積極的に進んでいる。オイシックスやサイバーエージェントなど6社から出資を受けている、おかん(本社東京都、沢木恵太社長)は14年3月から、企業で働く従業員向けに総菜の提供を行うBtoE事業を開始。顧客企業が約400社を超えたのを機に、BtoC事業も本格化していく。YJキャピタルなどから出資を受けているECベンチャーのブレンド(本社東京都、田尾秀一社長)は今年11月1日から、レストランの料理をコンセプトにした定期宅配サービス「Tasty Table(テイスティテーブル)」を開始した。オイシックスは10月17日に投資部門を社内に設置しており、食品を販売するベンチャーをさらに支援して市場拡大を狙う考えだ。


■3年後月8万食を計画

 「食材調達の手間をかけることなく、自宅をレストランに変えるような料理を提供したい」
 10月20日の記者発表会の席上、ブレンドの田尾社長は自社のサービスのコンセプトについてこう説明した。
 ブレンドは15年8月に起業。16年8月にYJキャピタルやイーストベンチャーズの出資を受け、事業を本格的に開始した。
 ブレンドが開設したECサイト「Tasty Table」は、毎週3種類のメニューから2品を選択し、カットされた食材が届くサービス。料理工程は詳細な画像で解説していく。
 スマートフォン(スマホ)における利便性を高めるため、宅配スケジュール管理などができるアプリを16年12月から提供する。調理した料理をSNSで共有する人たちのニーズを踏まえ、SNSでの情報拡散を新規顧客獲得につなげる。
 田尾社長は「料理の過程を楽しんでもらいたい」と話す。これは、オイシックス、らでぃっしゅぼーやなど既存企業が強化する「時短キット」とは一線を画すコンセプトだ。
 調理時間は20分~30分が目安。魚介類の仕入れは、仲卸業者の「築地・尾辰商店」と組み、旬の食材を調達する。そのほか、野菜や肉などの食材は国産に特化せず、海外からも良質な食材を選んで提供していく。
 自前のカット工場を東京・世田谷区に設けている。1年後に物流センターを拡張していく計画。配送エリアは、食材の鮮度を保つため本州に限定する。
 価格は送料込みで2人分6000円に設定。家事を分担する共働き世帯や、ホームパーティーを開く独身世帯をターゲットに見据える。料理を作る過程も楽しむ男性を開拓していく考えだ。
 17年度には新たなセットとして「パーティープラン」や「ファミリープラン」も導入していく予定。全国エリア配送も視野に入れる。初年度は月間1万食の販売を目標に設定。3年後に月間8万食の販売を目指す。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月3日号で)

ブレンド・田尾秀一社長

ブレンド・田尾秀一社長

関連リンク・サイト

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ