KDDI/DeNAショッピング買収/出店者からはM&Aに期待の声

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M&Aのイメージ図

M&Aのイメージ図

 KDDIは10月6日、ディー・エヌ・エー(DeNA)グループが運営する「DeNAショッピング」と「auショッピングモール」の二つのECモールを12月に買収すると発表した。運営体制は大きく変更しないことから、出店者に混乱はないようだ。KDDIという巨大資本が2モールを一元的に運営するようになることから、「プロモーション強化に期待」「ユーザーにとっても分かりやすくなる」といった前向きな声が出店者からは聞かれた。

 DeNAは10月7日、「株式会社Deコマース」を新設した。12月28日に「DeNAショッピング」と、子会社のモバオクが運営している「auショッピング事業」をDeコマースに事業承継する予定だ。KDDIは同日、Deコマースの全株式を取得する。買収金額は63億円だという(図参照)。
 Deコマースの代表取締役には、DeNAショッピングの事業責任者でモバオクの代表取締役も務める八津川博史氏が就任した。DeNAは「出店者さまとの契約・ビジネス関係を新会社にそのまま引き継ぐ予定」(経営企画本部広報部)と話す。
 事業責任者の八津川氏をはじめ、ECモール事業の担当者は原則、新会社に転籍することになる(一部社員は出向)という。ECモールの運営体制は大きく変更しない予定だ。


■運営主体一本化が目的

 「DeNAショッピング」と「auショッピング」の運営主体を一本化することが、今回のM&Aの主要な目的だという。
 DeNAは「これまで『auショッピングモール』の運営を通してKDDIと密に連携してきた。日頃から両社でECモール事業のさらなる成長について協議する中で、事業運営主体を一本化することが有効だと判断した」(同)と説明する。
 KDDIは近年、「au WALLET(エーユー・ウォレット)」や「au WALLET Market(マーケット)」を中心とした決済・物販事業を展開するなど、通信以外の生活領域サービスを強化していた。
 一方、DeNAは現在、ゲーム事業が主力であり、今後はメディア事業やシェアリングエコノミー事業に注力していく方針を掲げている。
 16年3月期のECモールの流通額は、前期比3.0%減の622億円だった。ECモール事業の売上比率は全体売上高の数%に留まっていた。
 ECモールの運営一本化の議論の中で、決済.物販事業の強化を図っているKDDIが事業を引き受ける方向に話が進んだようだ。
 運営主体の統合に伴い、ECモール自体を統合するという見方もある。KDDIは「今後詳細を検討していく。現時点では具体的な内容については答えられない」(広報)と説明する。
 DeNAは「事業譲渡後に『DeNAショッピング』のサービスブランドは変更されると(KDDIから)聞いている」(広報部)と話す。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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