AIの活用が進む中、「PCのスペック」が一層求められるようになっている。25年10月14日にWindows10のサポートが終了することもあり、法人用PCの買い替え需要は、さらに加速していくことが予想されている。PCのEC企業にとって、法人用PC市場は、思わずよだれが出るような存在だ。個人向けに比べて大量購入が見込めて、継続した購入につながるケースも少なくないのだという。そのため、アフターサービスや保証を充実させるなどして、法人顧客の獲得に奔走する、PCのEC企業が増えている。DtoCに注力するPCメーカーも、法人PC市場の獲得に向け、日々死闘を繰り広げている。
■オフラインでのAI活用
一般的にAIの処理は、ウェブのクラウド上で行われることが多い。クラウド上で行われるのであれば、PCのスペックにそれほど左右されない。そのため、誰でも手軽に使うことができるのが、こうしたAIサービスの大きな魅力の一つとなっている。
一方、セキュリティーの観点などから、クラウド上にデータをアップできないケースもある。特に製造に関する情報や顧客情報などを取り扱う際には、従業員によるAIの使用を制限している企業がほとんどだろう。
そういった機密情報などを、AIでオフライン処理する際に必要となるのが、「AIPC」といわれる高スペック商品だ。
AIPCは、NPUという、AI処理に特化したプロセッサーを搭載している。CPUやGPUしか搭載していないPCと違って、消費電力を抑えつつ、高速でAI処理が行えるのだという。
エプソンダイレクト(本社長野県)の事業推進部コミュニケーショングループ課長の藤森大輔氏は、「今はまだ、NPU搭載のPCはプレミアムなセグメントだ。だが2030年以降にはPCの主流になるのではないか」としていた。
サードウェーブ(本社東京都)の法人事業統括本部上席執行役員兼統括本部長の宮本琢也氏は、「今はやれることに限りがあるが、今後アプリケーションの開発が進めば、シェアは一気に拡大していくだろう」としていた。
■法人需要を拡大
サードウェーブはもともと、一般消費者向けのゲーミングPC「ガレリア」を主力としていたが、近年は法人向けにも注力しているという。「法人だと、4年サイクルでPCを切り替えるケースが多い。大手であれば、毎年1000台ずつ変えて、4年で4000台を切り替えるといったケースもあり、法人顧客を獲得できれば、安定した売り上げを維持できる」(宮本氏)と話す。
(続きは、「日本ネット経済新聞」9月18日号で)
【法人用PCのEC市場】AI活用で競争激化/2030年には「AIPC」が主流か(2025年9月18日号)
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