健康食品や化粧品などの定期通販事業者において、「初回お試し品」を、購入者が転売し不当に利益を得る「定期初回転売」の被害が拡大を続けている。ターゲットにされているのは、定期購入の初回と2回目以降に価格差を設けて販売している定期通販サイト。不正対策ツールを提供するスパイダーラボズ(本社東京都)によると、こうしたサイトでは、「定期初回転売」とみられる購入者の割合が、平均で5%を占めているとみられるという。健康食品の定期通販を展開する、ある大手企業では、1回キャンペーンを行うごとに、初回商品の転売で数億円の被害が発生するとしている。副業支援サイトを装い、闇バイトを募集して転売を勧誘しているケースもあるとみられるという。「反社」の関与を疑う声も上がっている。闇バイトで転売手段を知った購入者が、転売のノウハウを、情報商材としてウェブ上で販売するケースも出てきているようだ。
■数億円の被害の大手も
悪質な「定期初回転売」は、2015年ごろから、単品通販業界で問題になっていた。 コロナ禍でECのニーズが高まり、リアルの仕事を失った人が増えたことなどを背景に、一気に拡大したとみられる。
定期購入では、人気の健康食品や化粧品であっても、初回商品が500円や0円など割安で売られることも少なくない。こうした定期初回商品が、メルカリやアマゾンで定価に近い価格で売れることが、悪質な購入者に知られるようになったのだという。
20~22年ごろには、アフィリエイターが黒幕となり、「サンプル転売」を指南するケースが目立った。
不正なアフィリエイターは、クラウドワークスなどを通じて主婦や学生に、健康食品や化粧品の代理購入を発注。代理購入者は、アフィリエイターのブログなどから販売サイトに遷移し、定期購入契約を行う。代理購入者は初回品をアフィリエイターに送った後、定期購入を解約。アフィリエイターは、定期初回商品をメルカリやアマゾンで転売し、アフィリエイト報酬と転売の利益を手にするという手口だった。
こうしたアフィリエイターの不正購入が増加したことを受けて、各EC事業者とASPは当時、対策を講じた。不正が明らかになったアフィリエイターを、ASPがプラットフォームから排除する動きもみられた。
25年現在、こうした「定期初回転売」問題は、「初回購入して解約して転売する」という形を残したまま、複雑化の様相を呈している。
(続きは、「日本ネット経済新聞」8月7日・14日合併号で)
【定期商品の初回転売問題】販促1回ごとに数億円の被害も/"情報商材"として売られる「転売ノウハウ」(2025年8月7日・14日合併号)
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