国内大手ECモールがAI(生成AI)を活用した取り組みを加速している。LINEヤフーは今年5月、AIで購入体験を変える「Commerce Agent(コマースエージェント)」の構想を発表した。最終的な構想案まで実現すれば、ユーザーが求めている商品を適切なタイミングで購入につなげることができる。楽天グループ(楽天)では、AIを活用して、会社全体としてマーケティング効率、オペレーション効率、クライアント効率をそれぞれ20%改善する「トリプル20」を掲げている。24年は「トリプル20」プロジェクトの推進で105億円の利益を創出しているという。LINEヤフー、楽天ともに、AIの取り組みを通じて、さらにユーザー一人一人に適したパーソナライズな顧客対応を実現していく。国内大手ECモールのAIの取り組み状況についてまとめた。
LINEヤフーは25年3月期の決算説明会で次世代のAI構想「Commerce Agent」を発表した。この構想では、LINEヤフーが運営するサービスにおいて、AIを活用することでユーザーが求める最適な商品を提案する。
例えば、ユーザーがロボット掃除機を必要とした場合、ユーザーの過去の購買データや他者のレビューなどの意見から、注意するべき点を伝える。商品によって、中古品がある場合は、「ヤフーフリマ」「ヤフーオークション」などで販売している中古品を伝えて、購入を勧めていく。最終的に購入する前に、数日後に「PayPay祭」や「5の付く日」などのキャンペーンがある場合は、キャンペーンの有無も伝えるという。
「このフローは当社が目指す一つの理想の購入体験だが、現時点ではまだ道半ばだ」(コマースカンパニーショッピング統括本部プロダクション1本部本部長・市丸数明氏)と話す。
その前段階として、LINEヤフーは今年7月、「ヤフーショッピング」において、生成AIが商品の検索をサポートする機能のベータ版の提供を開始した。同機能は、「ヤフーショッピング」のアプリ内で、ユーザーが簡単な質問に答えていくだけで、AIが最適な商品を提案する。ユーザーの商品を検索する時間の短縮につながる見通しだ。
「ヤフーショッピング」のアプリのトップページにある検索欄にキーワードを入力すると、AIが最初の質問を投げかける。単身者・家族向けに探しているのか、予算の目安、こだわりの条件など、画面に表示される質問に答えていくと、AIが最大5商品のお薦め商品を提案する。
薦められた商品を選択すると、概要やお得に買い物できる日、レビューの要約、他商品との比較情報も確認できる。ユーザーの好みに合わせた商品探しをサポートし、効率的な時間の活用を支援するという。
今後は「Commerce Agent」において、LINEヤフーの他のサービスとの連携も進めていくということだ。
■105億円の利益を創出
楽天では24年、
(続きは、「日本ネット経済新聞」7月17日号で)
【大手ECモールのAI活用術】”パーソナライズ”の時代に/LINEヤフー、楽天ともAIで検索強化(2025年7月17日号)
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