【二極化するNMN市場】中国原料が大幅値崩れ/安価なNMN製品に警鐘を鳴らす声も(2025年6月26日号)

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 アンチエイジングが期待できる機能性食品素材「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」の原料価格が、大幅な値崩れを起こしている。その結果、安価なNMN商品がEC市場で販売されるようになっている。アマゾンでは、NMNを含むサプリメントが、1カ月分税込2980円で販売されているものもある。最終製品の価格も、5年ほど前と比較すると、10分の1以下にまで下がっている。値崩れのきっかけは、22年に、NMNの主要な消費地だった米国で、NMNを含む食品の流通が規制されたことだった。結果として、主要な生産国である中国で供給過多が発生。日本に安価な原料が大量流入するようになったようだ。フィットネスサプリブランド「VITAS(バイタス)」を展開するスリーピースでは、25年1月に発売したNMNのサプリが、月間1000~2000個の販売ペースをキープするなど、好調だという。一方で、「安価なNMN原料の中には、安定性・安全性のデータが確認されていないものもある」などと、安価なNMN製品に警鐘を鳴らす声もある。

■米中で流通規制

 NMNは、ビタミンB3(ナイアシン)に関連する物質。主に「抗老化」や「エネルギー代謝改善」の観点から注目されている成分だ。
 国内では19年頃から「注目の成分」として話題になっており、NHKの特別番組で取り上げられたこともあり、人気が沸騰した。当時は、ウェブを中心に、サプリ1カ月分が3万~15万円の価格で販売されているケースが多かった。
 22年11月、米国の食品医薬品局(FDA)が、NMNをサプリメントの分類から除外し、「健康補助食品としては禁止する」という判断を示した。ある医薬品メーカーで、新薬の臨床試験にNMNが使われていたことにより、「未承認医薬品に該当する」と判断されたためなのだという。
 世界中で流通するNMNの素材の多くは、中国で生産されている。22年までに、NMNが米国で話題になり、流通の増加が期待されたことにより、中国のNMNメーカーは、設備投資を行って増産体制を構築していた。その矢先に、米国で流通が制限されたことにより、供給過多が発生したのだという。
 中国国内では21年に、中国当局がNMN製品の国内での流通を規制する発表を行っていた。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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