【百貨店EC】三越伊勢丹は構造改革に成功/「新サイト」「OMO施策の注力」も続々(2025年6月5日号)

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 百貨店の通販・ECの決算が出そろった。三越伊勢丹ホールディングスのEC事業は構造改革に成功し、前期まで赤字だった営業利益は、25年3月期に10億円の黒字に転じたという。高島屋の25年2月期のEC売上高は、食料品やカタログギフトがけん引し、前期比4%増の364億円となった。各社は、「新サイトの始動」「OMO施策への注力」など、自社の強みを生かすべく、EC事業での取り組みを進めているようだ。

■構造改革で黒字に

 三越伊勢丹ホールディングスの25年3月期のEC売上高は前期比8.8%増の460億円となった。「オンライン事業」の変革を行った結果、前期まで赤字だった営業利益は、10億円の黒字に転じた。売り上げ拡大を続けながら、収支構造の改革を行い、安定的に収益を創出できる構造への転換を実現したとしている。
 同社のEC事業の売り上げは伸び続けている。19年3月期は168億円、20年3月期は194億円だった。
 21年3月期にはEC売り上げが305億円に急伸したが、EC事業の営業利益は28億円の赤字になっていたという。損益分岐点としては、「売上高700億円を超えなければ利益が出ない」といった状況だったそうだ。
 同社の顧客が望む「特別な商品」を展開するようにした。「マス」の考え方から「個」の考え方へと、大きく方向転換した。SKU数を絞り込みつつ、百貨店経由の顧客のEC利用・購入の促進にも注力したという。
 オンライン事業の営業利益の赤字は年々縮小し、24年3月期の赤字は4億円となった。25年3月期には10億円の黒字に転じた。
 今後、特化型ECサイトのさらなる強化を図るという。


■高島屋はECがけん引

 高島屋の25年2月期のEC売上高は、前期比4%増の364億円となった。シェアの大きい食料品や、カタログギフトが売り上げをけん引した。
 一方で、25年2月期の、EC事業を含む通販事業全体の売り上げは、前期比0.4%減の約522億円となった。そのうち、カタログ通販、テレビ通販、ECの売り上げの一部で構成された「クロスメディア事業」の売り上げは、前期比9.2%減の157億7000万円。通販カタログの計画的な部数・ページ削減の影響などにより、前期比で減収となった。EC事業が好調で、通販事業全体の売り上げはほぼ横ばいでの着地となった。
 ECでは今後、顧客のニーズに沿った、展開ブランドの拡充や、サイト・アプリの特徴化、利便性向上の取り組みを引き続き推進していくという。


■ECのギフト利用増

 大丸松坂屋百貨店の25年2月期の通販EC事業の売上高は、前期比4.9%増だった。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月5日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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