CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)に関する情報がEC業界で不足しているようだ。情報不足は販売会社と支援会社でCRMの捉え方や認識の違いを生んでいる。こうした状況からの脱却が求められる中でも、両社が伴走するようにCRMで成果を上げた例もある。共通しているのは「多様なデータ取得」「1年以上の長期戦」というキーワードだ。
■認識にずれはないか
ソリューションを提供する会社から多数挙がったのが「CRMの認識」という言葉だ。
CRMは顧客関係管理であり、マネジメント手法のソリューションだが、この認識に支援会社と販売会社の間でずれが発生しているようだ。
販売会社からの相談で最も目立つのは「導入すれば売り上げにつながるのか」というもの。導入後すぐに、という短期的な視点でCRMを見てしまう販売会社のこうした考えに、支援企業は苦慮している。
この原因は、支援企業側が発信するCRM導入における事例や情報が少ないことにもある。販売会社がCRMの狙いを高めるためには、支援会社による情報発信は必須といえる。
ソーシャルPLUS(本社東京都)は、導入事例などを含めたコンテンツ発信を強化している。同社のコンテンツを読み込み、CRM活用を理解した企業からの引き合いが実際に増えたという。相談内容は以前よりも具体的で、契約に至る率も高まっているそうだ。
一方、サブスクライン(本社東京都)が提供するLINE向けCRMソリューション「サブスクライン」のように、LINE経由で相談から購入まで対応し、導入までの期間を短く、購買動線を構築できるものもある。現在、オンラインクリニックなどから引き合いが多いとし、物販と掛け合わせて新たな収益源につながる仕組みが奏功しているようだ。
■分岐点はデータ取得
CRMソリューションを提供する支援会社が目指すのは「ワン・トゥ・ワンコミュニケーション」だが、事業規模や商材、単価、顧客とのコミュニケーション方法など企業ごとに提案は異なる。
そこで鍵を握るのは、企業が持つ顧客データの解像度の高さとなる。
(続きは、「日本ネット経済新聞」5月29日号で)
【<EC向けCRM特集> 支援会社の情報発信は必須に】 情報不足からの脱却を/多様なデータ取得と長期戦が鍵(2025年5月29日号)
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