特許庁/楽天、ヤフーと注意喚起/ネットの摸倣品対策を議論

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楽天の河野奈保執行役員

楽天の河野奈保執行役員

 特許庁は2月9日、楽天、ヤフーと、知的財産権や消費者の利益保護を目的に活動する一般社団法人ユニオン・デ・ファブリカン(事務局東京都)を登壇者に招き、ネット通販のブランド模倣品対策についてパネルディスカッションを行った。消費者への注意喚起と、信頼されるネット通販の運営ポイントについて話し合った。
 パネラーには楽天の河野奈保執行役員、ヤフーのコーポレート政策企画本部の上山達也氏、ユニオン・デ・ファブリカンの堤隆幸専務理事が登壇した。
 ユニオン・デ・ファブリカンによると、ルイ・ヴィトンなど老舗ブランドの模倣品の数は昔と変わらず、減らない状況が続いているという。最近ではSNSの普及に伴い、新興ブランドも口コミの力で爆発的に人気が出て、模倣品が大量に出回ったときに対策が追いつかないケースが多いと指摘した。
 バッグや靴などにとどまらず、偽物を製造する商品ジャンルの幅が拡大していることも最近の特徴だ。事故やけがにつながる模倣品も増えている。
 ヤフーでは「『ヤフオク!』が始まったばかりの00年頃は、偽物であっても似ていれば欲しいという消費者が多かった。しかし、現在はエアーバックの模倣品を中古車修理工場が購入して実際にエアーバックが開かずに大事故になるといった人命にかかわる模倣品も出ている」と説明した。
 特許庁はネット通販で模倣品を買わないよう注意喚起する動画を制作し、消費者が注意すべき表示やサイトの作りについて7つのポイントを挙げている。
 注意すべきサイトは(1)会社概要がない(2)メールアドレスがフリーアドレス(3)URLが通信の安全を示す「https」ではなく「http」になっている(4)「正規品」「アウトレット」と頻繁に書いている(5)支払方法が銀行振り込みだけ(6)値段が極端に安い(7)翻訳ソフトで訳したような不自然な日本語119643といった特徴があるとしている。
 その上で、販売者側はURLや表示を見直し、健全なサイトであることを示さなければならないとしている。
 模倣品を販売しようという悪意がなくても、万が一、模倣品を販売してしまった際は販売者の責任が問われる。仕入先や、直接やり取りのない仕入れ元が模倣品を卸している可能性がある。
 このため、楽天では「楽天市場」の出店者が安全なルートでブランド品を仕入れているかをチェックするため、特定のブランド品については販売前に仕入れ元を申請するよう義務付けていると説明。申請を義務付けるブランドは老舗高級ブランドがメーンだったが、年々種類が拡大。1139ブランド(16年1月時点)と連携し、調査購入して模倣品を取り締まるパトロールも行っている。

ヤフーのコーポレート政策企画本部の上山達也氏

ヤフーのコーポレート政策企画本部の上山達也氏

ユニオン・デ・ファブリカンの堤隆幸専務理事

ユニオン・デ・ファブリカンの堤隆幸専務理事

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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