大手化粧品メーカーである、ポーラとオルビスは、化粧品の販売において、「チャネルレス」を目指す取り組みを加速させている。サロンでの対面販売を手掛けるポーラは4月、サロン・百貨店・ECの顧客情報(ID)を統合。チャネル横断で販促を行える仕組みをスタートさせた。一方、オルビスは5月、化粧品業界初となる無人販売店舗を開設した。人材確保の難しい地方の商業施設に積極的に出店し、化粧品メーカーとしての認知向上を図るのが、無人店舗開設の狙いだという。同社では、通販などの利用促進にもつながるとみている。将来的には、店舗のPOSデータと、通販の顧客データを統合することも計画しているという。両社が目指す「チャネルレス」は、より細やかにパーソナライズされたサービスの提供へとつながりそうだ。
■DMや店舗など接点増やす
オルビスは5月、立川の商業施設「グランデュオ立川」に、化粧品の無人販売店舗「ORBIS Smart Stand(オルビス・スマート・スタンド)」を開業した。無人店舗では、商品棚に重量センサーを設置。来店客が商品を手に取ると、自動で検知する仕組みになっている。レジでバーコードを読み取らなくとも、決済が可能だ。
無人店舗は、人件費がほとんどかからない。そのため、初月は、有人店舗より来客が少なかったが、黒字で運営できたという。
実際に、無人店舗を訪れた顧客からは、「(無人なので)商品をじっくり選べる。決済も抵抗なくスムーズにできた。すぐに購入したいときに便利だ」(30代女性)といった声も聞かれた。
オルビスの無人店舗では、離れた場所にいる美容部員から、オンラインカウンセリングを受けることもできる。オンラインカウンセリングは、店内のカウンターに設置してあるタブレット端末を使って行うという。
オルビスはコロナ禍において、通販の顧客が、専用のアプリからオンラインカウンセリングを受けられるサービスを構築していた。販売店舗では、アプリと同じ仕組みを使って、カウンセリングを受けられるという。
オルビスによると、アプリのユーザーは、オンラインカウンセリングのほか、カラー診断などさまざまなコンテンツに触れる機会があるという。コンテンツに触れる機会が5回ある顧客は、コンテンツを1回しか見ない顧客に比べて、購入単価が30%以上高まったというデータもあるとしている。
(続きは、「日本ネット経済新聞」6月29日号で)
【ポーラとオルビス】 目指すは「チャネルレス」/業界の先ゆく「無人店舗」と「OMO」(2023年6月29日号)
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