【航空大手のECモールの可能性】 ANAの出足はまずまず/マイル会員3000万人のニーズ把握が鍵(2023年4月20日号)

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EC事業推進部・早川みな恵マネージャー(23年3月時点、4月から異動)

EC事業推進部・早川みな恵マネージャー(23年3月時点、4月から異動)

 日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の航空大手2社が、マイレージ(マイル)を利用できるECモール展開を開始する。両社とも3000万人を超えるマイル会員を有しており、ECモールとしてのポテンシャルは高い。さらにコロナ禍が落ち着きを見せ、旅行者が増加していることから、マイル会員の活性化にも期待が持てる。JALグループのECモールは今夏の開設予定だが、ANAグループのECモールは今年1月に開設している。運営会社のANA X(エイエヌエーエックス、本社東京都、轟木一博社長)や、出店しているEC事業者に、出足の状況や今後の期待について聞いた。

 ANA Xが今年1月に開設したECモール「ANA Mall(エイエヌエーモール)」は、ANAのマイル会員3800万人を顧客基盤としている。グループ企業が運営するECサイトをモールに集約したのに加え、開設時には23店舗が出店した。
 リンベル、高島屋、成城石井、家電ECのストリーム、健康食品の九南サービス、化粧品のTerre Bleue(テアブルー)などが出店している。
 「ANA Mall」は購入金額100円で1マイル、ANAカード決済では100円ごとに2マイルがたまる。1マイルを1円として買い物で利用することもできる。
 コロナ禍で旅行に行けず、マイルの使い道に悩む顧客も多かったという。  
 「今までだと、ポイントが数千ポイントあっても、使い道がなく、泣く泣く失効していた顧客もいる。そういった顧客にこそ、このモールは最適だ」(EC事業推進部・早川みな恵マネージャー)と説明する。
 ANAグループのマイル会員は、約3800万人おり、会員の約50%の平均世帯年収が1000万円を超えている。消費力の高いマイル会員が、「ANA Mall」の潜在顧客なのだ。


■出店者のリアルな声

 モール開設からまだ3カ月だが、初速はどうなのだろうか。出店者からは、これからの成長に期待を寄せるという声が多い。
 家電のECサイト「ECカレント」を運営するストリームは、モールのポテンシャルはかなり大きいものを秘めているとみている。
 「出店してから毎月、売り上げは右肩上がりで上がっている。他のECモールよりも少し単価の高い商品がよく売れている印象だ。やはり実際に、ANAマイルを保有している人がマイル消費で購入しているケースが多い」(右田哲也取締役)と説明する。
 ストリームは今後、ANA Xと共同で販促を展開し、さらなる顧客からの商品の購入につなげていく計画だ。
 「今後は、ANA Xとともに、家電商品のキャンペーンを行っていく。季節に応じた商品の中から目玉商品のセールや顧客に付与する『ポイントアップ』などの施策を検討している。ANA Xと当社で力を合わせて『ANA Mall』の流通額の拡大につなげていきたい」(同)と展望を語る。


■ANA経済圏の創出へ

 ANA Xは今後、どのような戦略でECモールの成長を図るのか。

(続きは、「日本ネット経済新聞」4月20日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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