【進化するウェブ接客】AIが最適な解決策を提案(2023年2月2日号)

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小田志門CEO

小田志門CEO

 「ウェブ接客ツール」の進化が凄まじい。ただ、ECサイト上にチャットボットを設け、ユーザーと会話をするだけではない。最近は、AI(人工知能)がユーザーの行動データを解析し、過去の訪問者の行動と照らし合わせてユーザーにとって最適な解決策を提案する。「高騰し続けるCPO(顧客獲得単価の上昇)」や「新規参入事業者の増加」などにより、EC事業者は従来以上にCVR(購入率)向上策に取り組んでいる。最新の「ウェブ接客ツール」と、それを有効活用した成功事例を紹介する。

■CVR5倍超も

 「ウェブ接客」とはECサイトに訪問したユーザーに対して、チャットツールやチャットボットで会話をするツール、あるいは画面に大きくバナーが表示されるポップアップツールなど、ウェブ上でユーザーに接客できるツールのことを指す。
 チャットボットやチャットツールが乱立する中、カスタマーサポート(CS)支援のカラクリ(本社東京都、小田志門CEO)が提供するチャットボットと「ウェブ接客ツール」を兼ね合わせたハイブリット型ツール「KARAKURI hello(カラクリ ハロー)」が、大手EC事業者を中心に人気を集めている。
 「KARAKURI hello」は、同社が手掛けるチャットボットを下地に開発されたCSに特化したウェブ接客ツール。チャットに蓄積した応対ログと行動ログを統合したデータから、サイト利用時に生じるユーザーの困り事をリアルタイムで予測し、解決策を提示する。
 22年、カタログギフト大手のリンベル(本社東京都、東海林秀典社長)が同ツールを導入した。リンベルの22年11月度のチャットボット使用ユーザーのCVRは、前年同月と比べて約5倍に伸長したという。
 「ギフトを販売する競合企業が増えたこともあり、なかなか当社のサイトで購入まで至らないことが増えた。安い価格の商品を販売しているサイトや、疑問を解消できるFAQを備えた他社サイトに流入しているのだろう。新ツールを通じて、会話をする前に顧客の悩みを解消できれば顧客流出を防げると捉えていた」(リンベル担当者)と話す。
 リンベルは香典返しや結婚祝いなど、贈答目的で使用するユーザーが多い。香典返しを送るにしても、関東や関西で表書きが異なったり、送るべき時期、送ってはいけない品物など、細やかな決まりがある。
 「実際にリンベルさんに導入してもらってから、目に見える形で数値の変化が表れた。『のしの表書き』ページを何分も見ているユーザーがいた場合、のしの表記に困っているなとAIが自動で判断し、宗教で表書きが異なること、送り先で表書きが異なることを、助言してユーザーの悩み解決につなげている」(小田CEO)と話す。


■購入促進の仮説を提案

 CVR向上を支援するツールを提供するSprocket(スプロケット、本社東京都、深田浩嗣代表)もユーザーの行動ログを分析し、導入企業の販促やマーケティング施策を支援している。

(続きは、「日本ネット経済新聞」2月2日号で)

顧客の悩みを解決する最適解を提示

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記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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