【競争激化の化粧品EC市場】 成長企業が取る独自ブランド戦略(2022年10月27日号)

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 化粧品EC市場の競争が激化している。その中で成長を続けているEC事業者は、独自のブランド戦略に磨きをかけているようだ。化粧品ECのプレミアアンチエイジングでは、第2ブランドの育成に成功し、主力ブランド依存から脱却。22年7月期の通販売上高が、前期比8.4%増の241億5000万円になった。I―ne(アイエヌイー)は、複数のブランドの売り上げをバランスよく伸長させる戦略が奏功。22年1―6月期(中間期)の連結売上高が、前年同期比16.0%増の161億9000万円となった。

■8割依存の主力ブランドからの脱却

 プレミアアンチエイジングは今月、高機能エイジングケアブランド「CANADEL(カナデル)」の「オールインワン美容液」がシリーズ累計出荷個数500万個を突破したことを発表した。19年4月の発売以来、好調が続いており、22年7月期に、特に大きく伸長したという。
 同社では、主力ブランド「デュオ」に依存した事業構造からの脱却が経営課題となっていた。第2の収益の柱として育成してきたブランド「カナデル」のヒットが、課題解決の糸口となった。「カナデル」の22年7月期の売上高は、50億円を突破したという。
 22年7月期の通販売上高は、前期比8.4%の増収となった。「カナデル」だけでなくヘアケアブランド「クレイエンス」なども好調で、増収の要因となったとしている。主力の「デュオ」はクレンジングバームのブランド。22年7月期においても、同社の売り上げの82%を占め、シリーズ累計出荷個数は4000万個となっている。
 「デュオ」以外のブランドを育成するため、同社では「デュオ」の展開の中で蓄積した、マーケティングの知見を惜しみなく注ぎ込み、プロモーションを行ったという。カナデルの売上構成比は、21年8―10月期(第1四半期)時点で10%だったが、22年7月期の通期では16%にまで向上したという。22年7月期の下半期(22年2―7月期)に広告投資を積極的に行い、高水準の新規獲得に成功したとしている。


■新規マーケット開拓

 ブランドのポジショニングを的確に行ったことも、「カナデル」が伸びる要因になった。
 オールインワン化粧品は通常、シニアをメインターゲットにするケースが多いという。同社では、「忙しい現代女性の時短ニーズ」にあえて着目。「デュオ」のターゲット層とは異なる若年層にアプローチしたのだという。
 「シニア向け」「効果が不十分」といった、既存の「オールインワン化粧品」の既存のイメージを再定義。「若年層に受け入れられる」「効果実感の高い商品」としてブランディングを行ったのだそうだ。
 こうした新規のマーケット開拓のノウハウには、再現性もあるようだ。同社では、「クレイエンス」のブランド育成においても、こうしたノウハウを活用した。

(続きは、「日本ネット経済新聞」10月27日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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