EC事業者による自社ブランド商品開発強化の動きが活発だ。著名人とのコラボレーションやサービス形態に最適化した商品設計など、その内容も高度化が進んでいる。販売チャネルの特性や課題にマッチするような商品開発が、独自性の創出に加えサービスの高度化や新たな利用層の拡大にもつながっている。
■知見と影響力生かす
家具ECのタンスのゲン(本社福岡県)は、自社開発商品の展開を近年強化している。育児を行うスタッフが、子ども用家具の商品企画に携わった「現役ママが考えたシリーズ」など、特定のコンセプトを持った自社独自の商品を打ち出している。
その中でも活発に取り組みを進めているのが、著名人やインフルエンサーとのコラボ商品の展開だ。
21年8月には、テント紹介やアウトドア関連の動画を手掛ける尾上祐一郎氏とのコラボによって開発した、ソロテントの予約販売を実施。尾上氏のこだわりを反映し「究極のソロテント」と銘打った同商品は、受け付け開始から約1週間で完売するヒット商品となった。
「テントのレビュー動画などで強い支持を受ける尾上氏が認めたテントとして、アウトドアファンの間で大きな話題を集めた」(広報)と振り返る。
■アプリ誘導に一役
2月には、ユーザーからの要望を受けソロテントの再販を実施した。「前回販売後はフリマアプリなどでの高額転売行為も見られた。不正購入や転売防止のため、再販時は自社のアプリを窓口とした抽選販売に変更した」(同)と言う。
窓口を絞りながらも、抽選販売への申し込み数は想定以上だったという。一つのヒット商品が、より密な顧客関係を築ける自社アプリへの誘導にも大きな役割を担った格好だ。
(続きは、「日本ネット経済新聞」3月17日号で)
【EC事業者の自社商品開発】 特性生かし強み創出/著名人コラボ・サブスク最適化など (2022年3月17日号)
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