〈コーヒーECの原価高騰〉 仕入れ額3倍の企業も/20%の値上げが主流か (2021年12月9日号)

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澤井珈琲では全体で20%の値上げ

 コーヒー豆の急騰が、コーヒーEC業界に激震を与えている。コーヒー豆の価格が、昨年比で2~3倍に上昇した産地もあるという。これを受け、コーヒーEC各社は21年秋以降、続々と値上げに踏み切っている。20%前後の値上げを行う企業が多いようだ。それでも、原価の高騰分をすべて値上げで吸収できる企業は少なく、利益の捻出が課題となっている。楽天市場などでコーヒーを販売し、コロナ禍で大きく売り上げを伸ばした澤井珈琲も例外ではなく、原価高騰が直撃。業績の先行きに黄色信号が灯っているという。スペシャルティコーヒーを販売する丸山珈琲では21年7月に楽天市場に出店し、低価格帯商品を展開する戦略を練っていたが、原料の高騰により、商品ラインアップを思うように拡充できない状況に陥っている。各社は、コロナ禍の「コーヒーEC特需」から一転、戦略の大転換を迫られている。

■NY相場は2倍に

 ニューヨーク市場におけるコーヒー豆の先物価格が今年に入り高騰している。21年6月頃から高騰の兆しを見せていたが、ここにきて急騰。21年12月には、コーヒー豆の仕入れ価格が、昨年の2倍以上になったという。産地や輸送経路によっては、仕入れ価格が前年比で3倍になることもあるようだ。
 UCC上島珈琲(以下UCC、本社兵庫県)では、21年9月1日に、レギュラーコーヒーの価格改定を行った。小売価格は平均でおよそ20%上昇したとみられる。UCCが値上げを7月に発表したことがきっかけとなり、コーヒーEC業界は一気に値上げラッシュに突入した。9~10月にかけて、各社は続々と値上げに踏み切った。
 澤井珈琲(本社鳥取県)も10月11日、値上げを開始した。ECサイトで販売する商品の値上げを順次実施。上げ幅は平均で約20%だったという。価格を20%上げるか、内容量を20%減らす方法で、原価高騰に対応した。しかし、急激な値上げは、コロナ禍の需要拡大に沸いていたコーヒーEC事業に、冷や水を浴びせる結果となった。「21年3月期は大幅増収だったし、22年3月期も大幅増収になると見込んでいたが、値上げを機に、事態が一変した。現在は、なんとかプラスで終わりたいと願うばかりの状況だ」(澤井理憲常務)と話す。同社ではコーヒー豆の仕入れ価格が、2~3倍に膨れ上がったという。売り上げ確保はできても、減益は免れえない見通しだという。
 スペシャルティコーヒーを販売する丸山珈琲(本社長野県)は、9~10月にかけて、ECサイトと実店舗で、20~30%の値上げを行った。値上げ直後は、売り上げが、20~30%程落ちたという。
 産地や仕入れ先、契約方法によって、原価の上昇率にはバラつきがあるが、値上げの幅については、20%程度に設定している企業が多いようだ。
 コーヒー豆については、一定期間一律の金額で仕入れる契約を結んでいる企業が少なくない。そのため、当面の値上げを回避できた企業であっても、来年以降、値上げに踏み切るケースが増えてくる可能性がある。


■相場連動の価格設定

 コーヒーの急な値上げは、需要の急減を招きかねない。各社は、その告知方法にも頭を悩ませている。

(続きは、「日本ネット経済新聞」12月9日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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