【真相追跡 <定期販売トラブル>】<第1回> 若年層狙った健食通販の相談急増

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 国民生活センターが6月16日に公表した報告書で、定期購入に関する相談件数が急増していることが明るみになった。報告書によると、消費生活センターに寄せられた通販の定期購入に関する15年度(15年4月~16年3月)の相談件数は、前年度比約3倍の5620件に増加(表1参照)。定期購入の中でも若年層をターゲットにした健康食品通販サイトに関する相談が多いという。取材を進めると、健康食品の定期購入型通販サイト「うるおいの里」を運営するモイスト(本社東京都、池田英子社長)への相談件数が急増していたことが分かった(表2参照)。相談件数が急増した背景を追求するとともに、通販事業者が今後、定期購入型通販市場の健全な発展のために取り組むべき課題を探る。

 国センが公表した相談事例によると、「『初回無料(送料500円のみ)』とうたう通販サイトを見て注文してみると、実際には数カ月間の定期購入契約になっており、購入者が解約したくても応じてくれない」というケースが急増しているという。
 国センだけでなく、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)への健康食品の定期購入に関する相談件数も増えている。JADMAによると15年度における健康食品の定期購入に関する相談件数は前年度比約7倍の254件も寄せられたという。
 JADMAに寄せられた相談の対象は特定の企業に集中。内訳をみるとA社が47件、B社が45件、C社が31件、D社が25件、E社が12件だった。A社とB社は関連企業だったという。


モイストの相談多数

 弊紙が取材を進めると1社の名前が挙がった。生酵素などのサプリメントを販売する通販サイト「うるおいの里」を運営するモイストだ。
 国センの「PIO―NET(パイオネット=全国消費生活情報ネットワーク)」を活用し、「モイスト」や「うるおいの里」に関する相談件数を調べた結果、15年度に1347件の相談が寄せられていたことが分かった。特に今年2月ごろから相談件数は増加しており、4月には1カ月間で1169件もの相談があった。
 国センの報告を受け、テレビのワイドショーなどでも「定期購入トラブル」について報道された。その番組でも「うるおいの里」の通販サイトが映し出され、相談件数増加の張本人かのように紹介されていた。
 ただ、「モイスト」や「うるおいの里」に関する相談件数は4月をピークに減少に転じている。「うるおいの里」の「丸ごと熟成生酵素」の通販サイトを見ると、「4カ月の継続契約が条件であること」や「2回目以降の購入価格」などが明記されている。(つづく)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ